
三葉虫の付属肢は触角をのぞき、全て二肢型付属肢(biramous appendage)とよばれる肢になっています。これは、鰓状の構造をもつ前副肢(preepipodite)と、七つの節からなっている後肢(telopodite)からなっています。
後肢については、構造より歩く時に用いられる”歩脚”であったことにほぼ間違いはありません。
しかし、前副肢については、遊泳時に櫂の役目をはたしたり呼吸器官として使用する以外の用途もあったでしょう。例えば
底部を匍匐(這い歩き)の時に海底よりまきあがる細かい粒子や有機物をつかまえるフィルターの役割を果たしたことは確実です。
頭部にある三対の二肢型付属肢は付け根がギザギザになっており、顎を持たない三葉虫の顎の代わりをしていたようです。
また唯一の単肢型の付属肢である触角(antenna)は唇(hypostoma)の左右より一対はえていました。
なお、三葉虫以外に甲殻類も二肢型付属肢をもっていますが、両者の付属肢の構造は異なっています。(下記の図を参照)

甲殻類の付属肢モデル図(左図)と三葉虫の付属肢モデル図(右図)
鰓肢の分岐している位置が異なることがわかります。
[古生物学U 朝倉書店より改写]