ホルムアルデヒドの法的規制


I013

ご質問

建築に関する仕事をしております。ホルムアルデヒドに関して、現在は基準値がありますが、将来この数値をもって法律が制定されるのでしょうか。また、0.08ppmの数値は室内だけで、各建材に対しては基準値があるのでしょうか。 

回答   

厚生省によって定められたホルムアルデヒドの室内濃度指針値0.08ppmをもとに、室内濃度に関する規制値を法律で定めることはないと考えられます。なぜならば、室内ホルムアルデヒド濃度は、壁材・床材など建物に使われる建材から放散されるだけでなく、居住者が購入した生活用品や家具からも放散される場合があるからです。ほししいたけやリンゴなどの天然の作物、たばこの煙にも含まれており、この季節あれば、石油ストーブや石油ファンヒータなどの開放型暖房器具からも放出されます。ですからホルムアルデヒド濃度が高いことが測定によって明らかとなっても、責任の所在がはっきりしません。 

大気汚染においても、二酸化炭素、二酸化窒素、浮遊粒子状物質、一酸化炭素、二酸化硫黄で環境基準値がありますが、法的規制はありません。これも同様の理由からだと思われます。 

建築設計・施工者側の責任を明確にするための方法として、竣工直後の室内ホルムアルデヒド濃度の監視が考えられますが、室内ホルムアルデヒド濃度は、夏場の気温が高い時期と、冬場の気温が低い時期とでは室内濃度が異なり、気温が高い夏場の方が高くなります。そのためこの場合でも、法的規制を行うことは困難だと思われます。 

各建材に関するホルムアルデヒド濃度基準値には、次の基準値があります。

1)壁紙等インテリア材料に関する自主基準

「生活環境の安全に配慮したインテリア材料に関するガイドライン」壁紙材料協会

2)普通合板、構造用合板、特殊合板、コンクリート型枠用合板に対するJAS(日本農林規格)規格におけるホルムアルデヒド放散量による表示(農林水産消費技術センター)

3)MDF(中質繊維板)、パーティクルボードに関する日本工業規格(JIS) 

詳細は、私のホームページの中にある、次のアドレスをご覧下さい。

「建材中の化学物質基準値について」I005
http://www.kcn.ne.jp/~azuma/QA/IAQ/I005.html


Q&A集

「住まいの科学情報センター」のメインサイトへ