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北朝鮮の人質外交を非難せず、日本政府を批判する朝日新聞

 11月27日の朝日新聞は、「《日朝どうなる》原則貫くか、まず交渉か 揺れる政府」、「日本、交渉戦術描ききれず」、「北朝鮮の反発、誤算」と言う見出しで、次のように報じていました。

 
「日朝間の歯車が狂い始めたきっかけは、日本側の方針転換だった。北朝鮮側と『1、2週間」との約束で帰国させた拉致被害者5人について、首相が10月24日、「北朝鮮には戻さず、(北朝鮮に残る5人らの)家族の帰国を北朝鮮に求めていく』と決断した」、「読み違えたのは、その後の北朝鮮側の反発だ」、「日本政府は、・・・『5人の家族』という新たな交渉カードを北朝鮮側に与えてしまった」

 朝日新聞は日本政府の対応を批判していますが、卑劣な北朝鮮の人質外交に対しては一言の批判もありません。それでは、朝日新聞はどうすれば良かったというのでしょうか。

 朝日新聞は北朝鮮との約束を守るべきだったというのでしょうか。一度北朝鮮に戻った被害者が必ず日本に戻れると思っているのでしょうか。北朝鮮が嘘つき国家であることを忘れてはいけません。北朝鮮が本人の意向だと言って、拉致被害者を日本に戻さない可能性は高いと考えなければなりません。そうなったときに誰が責任を取るのでしょうか。北朝鮮が被害者の日本への永住帰国を認めるという気があるのなら、国交正常化交渉を犠牲にしてまで、被害者を一旦北に戻すことにこだわるのは不可解です。彼らがこだわっているのは日本に帰す気がないからだと思います。北朝鮮は単に面子にこだわっているのではないと思います。

 不法に拉致された日本人の原状回復を求めるのは当然のことです。北朝鮮は非を認めて謝罪した以上、拉致被害者の身の振り方について口を出す立場にはないはずです。被害者およびその家族の意向を聞く必要があるとすれば、それは日本政府のすることであって犯罪国家北朝鮮のすることではありません。日本政府が5人を返さなかったのは当然のことです。非難されるべきは人質外交をしている北朝鮮です。その北朝鮮に対する一言の非難もなく、日本政府を批判している朝日新聞はとても日本の新聞とは思えません。

平成14年11月27日     ご意見・ご感想は こちらへ     トップへ戻る     目次へ