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官僚と同じことを言っている読売新聞

 9月12日、13日、14日の読売新聞は、「避けるな 消費税論議」というタイトルの特集記事で、連続して消費税率引き上げの必要性を主張していました。
 12日の見出し 
「年金財源確保に不可欠」、「政治家危機感薄く」
 13日 〃     
「社会保障負担 『広く薄く』」、「企業にしわ寄せ顕著に」
 14日 〃    
「財政ひっ迫、進む国債依存」、「税率上げ 世論は成熟」

 財政の破綻を防ぐには、増税か支出の削減(役所と公務員のリストラ)か、と言うことになりますが、読売新聞は増税を主張しているだけで、リストラには全く触れていません。なぜでしょうか。デフレによる苦境が続く中で、日本経済は増税に耐えられるのでしょうか。読売新聞の主張にはそういう視点か欠落しています。今まで、不況克服のために国債を増発してまで減税をしたのは、いったい何のためだったのでしょうか。
 
 今の深刻な不況の引き金となったのは、平成9年の橋本政権下の消費税の3%から5%への引き上げであったことを忘れてはなりません。読売新聞は諸外国の例を引いて、日本の消費税率が相対的に低水準で、国民負担率は高すぎないと言っていますが、消費税引き上げが日本経済をさらに縮小させるおそれは十分あると思います。

 読売新聞は公務員のリストラにはいっさい触れていませんが、今の役所の規模と公務員の数が最適であるという根拠はどこにもありません。この点について見直しが検討されたことすらなく、不祥事や行政の立ち後れが指摘されるたびに公務員が増員されています。こんなことでいいのでしょうか。
 今の官僚機構、公務員の数、公務員の給与水準等を前提として、財政再建を論じていますが、そういうことを前提に議論をするから、財政再建イコール増税の発想になってしまうのだと思います。
 読売新聞の主張は残念ながら、財務省の官僚が言っていることと全く同じで、とても国民の視点に立ったものとは思えません。彼らがこのような主張をするのは、役所の記者クラブに入り浸って官僚の説明ばかり聞いているからだと思います。

 読売新聞は小泉首相が消費税増税の議論をさけていると言って批判していますが、議論をさけているのは読売新聞の方だと思います。

平成15年9月14日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る   目次へ