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「圏央道判決」を論じている毎日新聞のお粗末な社説

 4月25日の毎日新聞は、
「圏央道判決 独善的な道路行政への警告」と言う見出しの社説で、次のように論じていました。

 
「・・・もともと行政訴訟については、裁判所は行政の裁量による処分を軽々に取り消すべきではない、とする伝統的な考え方もある。・・・しかし、暴走する行政が市民の権利を侵害した場合、市民が頼るべき救済手段は司法以外にないことを断じて忘れてはならない」

 毎日新聞は民主主義の根本原理に無知なのでしょうか。国民は選挙を通じて行政を変えることができます。行政の暴走に歯止めをかけることは十分可能です。一方、裁判所の判事は選挙で選任されている訳ではありませんので、国民には司法の暴走を止める手段がありません。問題視すべきは行政の暴走ではなくて司法の暴走です。

 
「・・・道路や橋は、完成すれば、利用する者には便利な存在となる。それにかこつけて利用者の多寡や税負担、周辺住民が被る不利益を顧みなかった結果、車より動物が多いと陰口をたたかれるような不採算道路網が広がったのではなかったか。本来はチェック機能を果たすべき政治家が、利権のために抑制するどころか、いたずらに推進したせいで、膨大な国の赤字が生まれたのではないか。・・・」

 毎日新聞は首都圏の渋滞を解消すべく計画された圏央道路が、「車より動物が多い不採算路線」だと思っているのでしょうか。そういう批判は過疎地域で高速道路の建設を主張している知事や住民に対してすべきであって、交通渋滞の首都圏に関して言うべきことではありません。そのような批判は的外れという他はありません。露骨な話のすり替えです。

平成16年4月26日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る   目次へ