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選挙を無意味なものにしている、日本のマスコミ

 参議院選挙が始まりました。6月24日の産経新聞の見出しは、
「少数激戦 参院選スタート 年金、多国籍軍参加問う」でした。6月26日の朝日新聞の見出しは、「参院選公示 年金・多国籍軍問う」でした。

 どちらも同じように「年金」と「多国籍軍」を二大争点に挙げていました。おそらく日本中のマスコミは同じ捉え方をしているのだと思いますが、大事な問題が抜けています。それは、「北朝鮮」です。多くの拉致被害者が行方不明のままで、日本に帰国できる目処は全く立っていません。「核問題」も同様に解決の目処は立っていません。北朝鮮はなし崩し的に「核保有国」になってしまう恐れがあります。今後も北朝鮮の脅迫・人質外交が続きます。それに対してわが国がどう対処すべきかという問題が、なぜ、選挙の争点にならないのでしょうか。冷静に考えれば、年金や多国籍軍の指揮権の問題よりも、遙かに重要な問題だと思います。

 マスコミは二度にわたる小泉訪朝を連日大きく報じました。この問題が国民の関心事であり、重大問題であることは彼らも認識しているはずです。それにもかかわらず選挙になると急に扱いが小さくなるのはなぜでしょうか。与党の党首も野党の党首も、候補者も、誰もこの問題に触れません。

 その他にも、教育の荒廃、少子化、巨額の財政赤字・・・等、選挙で争点とし、国民の信を問うべき重大問題が、みんな素通りされています。マスコミがこれらの問題を避けるのは、教育の荒廃問題は「日教組批判」に、少子化問題は「男女平等批判」に、財政赤字問題は「公務員のリストラ」に行き着く問題であることを察知しているからだと思います。これらの問題はマスコミが深入りしたくない問題です。その理由は、これらの問題で批判の対象になりそうな人たちは、皆、進歩的なマスコミの熱心な支持者だからです。

 これらの重大問題に比べれば、「年金」の問題などは「枝葉末節」の問題に過ぎません。さらに政治家の年金未納問題や、議員の高額年金の問題などは些事に過ぎません。そのような些事をあたかも重大問題であるかのように報じて、議論を核心からそらせ、重大問題を選挙の争点から外して、選挙を無意味なものにしているのが日本のマスコミです。

平成16年6月26日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る   
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