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本当は民主主義が嫌いな日本のマスコミ

 郵政民営化問題と歴史教科書問題は大きな政治問題ですが、私の知る限りこれらの問題が国政選挙の争点になったことは一度もないと思います。また、これらの問題について旗幟を鮮明にして有権者の信を問うた候補者もいなかったと思います。

 小泉首相は郵政民営化に関して、反対派の議員が民営化を公約した自分を総裁選で総裁に選んでおいて、今更反対するのはおかしいと批判していますが、その通りだと思います。

 「争点」について旗幟を明らかにしないで選挙を戦い、選挙が終わってから行動を開始する行為は、有権者に対する詐欺行為、背信行為だと思います。

 民主党は、今に至ってもこれらの問題に対して、党としての立場を明らかにすることなく、ひたすら「政権交代」だけを訴えています。こんな政党に政権を与えたら、何をするか分かりません。

 そして、これらの詐欺行為を可能にしているのはマスコミの怠慢(意図的な怠慢)です。マスコミは選挙の時には、候補者が今何を言っているかではなく、今まで何と言ってきたか、今まで何をしてきたかを報じなければなりません。アメリカの選挙では候補者の過去の言動は細大漏らさず報じられます。しかし、日本のマスコミはこれらをほとんど報じません。たまに報じるのは、女性関係とか金銭に絡むスキャンダルだけです。

 最近の国会審議をテレビで見ていると、議員の資質の低下は目を覆うばかりです。選挙戦はいつも低調で投票率は低下する一方です。民主主義の根幹である選挙が形骸化し、国民の多数意見を反映するという本来の機能を喪失していることは否定できないと思います。これは民主政治の危機だと思いますが、日本のマスコミが危機感を抱いているようには見えません。

 日本のマスコミはなぜ危機感を抱かないのでしょうか。鈍感なのでしょうか。決してそうではないと思います。日本のマスコミは民主主義は好きではないのだと思います。彼らは国民の多数意見が反映する政治よりも、専門家と有識者の意見が反映する政治が好きなのだと思います。なぜなら、専門家や有識者を指名するのは自分たちであり、専門家と有識者の意見が反映する政治とは、とりもなおさず自分たちの意見が反映する政治であるからです。

平成17年4月14日   ご意見・ご感想は   こちらへ    トップへ戻る   目次へ