A116
公私混同、滅私奉公

 5月7日の読売新聞は、「脱線事故後、不適切行事185人参加」という見出しで、次のように報じていました。
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 JR西日本は6日、福知山線の脱線事故があった4月25日から同30日にかけての間、駅長ら所属長8人を含む延べ185の社員が、ゴルフや飲み会、旅行などに参加していたとする内部調査結果を発表した。このうち、神戸支社管内では事故当日に管理職9人も参加したゴルフコンペを開催。昼食時には事故の重大性を認識しながら、プレーを続行していた。
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 記事には、このほかにも送別会や、海外旅行などの各種「行事」が一覧表で報じられていますが、勤務時間内であったか、時間外であったかについては、一言も触れていません。平日の出来事であれば「時間内」の印象を与えますが、時間内であれば新聞が見逃すはずがありませんから、たぶん行事はすべて時間外であったと思われます。鉄道会社の職員が平日に交代で休日となることは当たり前のことです。

 それでは、読売新聞は何を非難しているのでしょうか。JRは全職員を非常招集すべきであったという主張でしょうか。それとも自宅待機を命じるべきだというのでしょうか。あるいはこのようなときには、「謹慎」すべきであるというのでしょうか。

 非常招集すべきであるというのなら、はっきりそう言うべきだと思いますが、果たして全職員を非常招集あるいは自宅待機にする必要があったのでしょうか。事故後、職員が足りなくて救助活動に支障があったのでしょうか。もし、そうであるならばその点をはっきり指摘するべきだと思いますが、今までの報道を通じてそういう指摘はなかったと思います。

 非常招集の必要を主張していないのであれば、読売新聞の主張は、職員は「謹慎」すべきであると主張しているのだと思いますが、勤務時間外に何をしようがそれは労働者の勝手で、それを非難するのは公私混同、滅私奉公の主張に他なりません。

平成17年5月6日   ご意見・ご感想は   こちらへ    トップへ戻る   目次へ