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「争点」が争点になった選挙

 8月29日の「asahi com」は、『争点』で6党首応酬 首相は郵政、野党は年金訴え」という見出しで次のように報じていました。
http://www.asahi.com/politics/update/0829/013.html
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 日本記者クラブ主催の党首討論会が29日、東京・内幸町で開かれ、公務で欠席した田中・新党日本代表を除く6党首が参加した。小泉首相(自民党総裁)が総選挙の争点を郵政民営化に絞り込む姿勢を鮮明にしたのに対し、民主党は年金問題などを取り上げるよう訴えた。「何が争点か」という論戦が続いたまま、選挙戦は本番を迎える。
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 主義主張が異なれば、何が選挙の「争点」かを巡って論争が起きるのは当然のことだと思います。今までの選挙でこのような論争が起きなかったのが異常だったのです。今までの選挙では、大体、自民党に不利な「政治と金の問題」とか、「自民党が過半数を割るかどうか」が「争点」であるとされてきました。そして、選挙は年を追うごとに低調になり、投票率が低下し、無党派層が増えました。

 これは、マスコミが指定した「争点」が、国民の関心事ではなかったことを意味していると思います。「靖国神社」や「北朝鮮」、「教科書問題」が選挙の争点になれば、国民の選挙への関心はもっと高まると思いますが、マスコミは決してこれらの問題が争点だとは言わないでしょう。日頃これらの問題を大きく報じているマスコミが、選挙になると沈黙するのは実に不可解なことです。日本のマスコミは選挙が有効に機能して、国民の多数意見が政治に反映することを望んでいないと考える他はありません。

 今回の選挙は小泉首相が「郵政民営化が選挙の争点である」と宣言して解散し、マスコミの「争点」操作に果敢に挑んだ選挙として記憶されるべきだと思います。

平成17年8月30日   ご意見・ご感想は   こちらへ    トップへ戻る   目次へ