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「東京裁判」をめぐる毎日新聞のアンケート調査は世論操作

 6月25日の毎日新聞は、「東京裁判 61%『不当だが、やむなし』」という見出しで、次のように報じていました。
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 毎日新聞は昨年3月から展開してきた「戦後60年の原点」シリーズの総括として、全国会議員を対象に歴史認識などに関するアンケートを実施し、24日集計した。・・・

 東京裁判の評価は@戦勝国が一方的に裁いた不当な裁判だA不当だが受け入れざるを得なかったB戦争責任者を裁いた正当な裁判だ――と言う3者択一で聞いた。「やむなし」(61%)のほかは、「不当」が8%で、「正当」が13%、無回答などが18%・・・
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 この三つの選択肢には二つの質問が混在しています。ひとつは「東京裁判」が不当であるか否か、もう一つは、「東京裁判」は受け入れざるを得なかったのか否か、という問題です。それぞれ別の問題なのですから、本来は質問を分けて二問とし、それぞれにイエス、ノーの選択肢を用意しなければならないはずです。「東京裁判」の正当性を問うならば、回答は@とBだけでいいはずです。
 それにもかかわらず毎日新聞は、なぜ異なる二つの質問を混在させて、回答を三択にしたのでしょうか。受け入れの可否については、なぜAだけにあって@とBにはないのでしょうか。

 そもそも、「東京裁判」を受け入れるべきかどうかなどと言うことは、受け入れる以外に選択の余地がなかった当時のことを考えれば質問する意味がありません。「受け入れざるを得なかった」のは当たり前のことです。しかし、それと現代において是認・容認するか否かとは全く別の問題です。

 それにもかかわらず、毎日新聞がわざわざ「A不当だが受け入れざるを得なかった」という選択肢を付け加えたのは、「@戦勝国が一方的に裁いた不当な裁判だ」、「B戦争責任者を裁いた正当な裁判だ」の二者択一では、@が圧倒的多数を占めてしまうのは目に見えていて、それでは小泉首相の靖国参拝に反対する根拠が危うくなってしまうので、「@戦勝国が一方的に裁いた不当な裁判だ」と言う回答を、何とかして少なく見せかけたかったからだと思います。

 @とAを合わせれば、「不当派」が多数であることは、一目瞭然ですが、Aの選択肢を設けたことにより、「不当だが、やむなし」という見出しを付けて、あたかも現代において消極的「東京裁判」是認論が多数意見であるかのごとく読者を欺くことが可能となります。事実、記事は「『やむなし』(61%)のほかは、『不当』が8%で、『正当』が13%、無回答などが18%」として、「不当」を少数意見とし、「やむなし」という消極的是認意見が多数であるとして話をすり替えています。

平成18年7月2日   ご意見・ご感想は   こちらへ    トップへ戻る   目次へ