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産経新聞が1年後に報じている、「トヨタバッシング」の真実


 12月24日の「フジサンケイビジネスアイ」の、「トヨタ走る 復活への道」と言う見出しの記事の中に、次のように報じている部分がありました。
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◆政治的リスク露呈

 トヨタのリコール問題を振り返ってみれば、米政府や議会の政治的な思惑が過剰ともいえる米世論の“トヨタバッシング”を招いたとの見方が少なくない。米ゼネラル・モーターズ(GM)などが法的整理に追い込まれるなか、政府・議会が自国産業の保護という観点からトヨタを標的にしただけでなく、支持率低下に悩むオバマ政権が雇用低迷による有権者の不満のはけ口としてリコール問題を利用した可能性は否定できない。実際にGMは、トヨタの苦境を尻目に業績のV字回復を果たし、先月には再上場を達成。米国の官民がトヨタの“敵失”に乗じた形になったのだ。

 トヨタのリコール問題は、円高や新興国需要の増大などで海外展開を積極化させている日本の製造業全体に品質管理面だけでなく、政治的なリスクがあることを知らしめた。グローバル展開する日本企業は足をすくわれないよう、品質管理の徹底はもちろんのこと、リスク管理能力も高める必要がありそうだ。(本田誠)
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 記事は、「米政府や議会の政治的な思惑が過剰ともいえる米世論の“トヨタバッシング”を招いた」、「政府・議会が自国産業の保護という観点からトヨタを標的にした」、「オバマ政権が雇用低迷による有権者の不満のはけ口としてリコール問題を利用した」と指摘し、
アメリカのトヨタバッシングが意図的なものであると言っていますが、産経新聞は、事件から1年たってようやくこのことに気づいたのでしょうか。それとも知ってはいたけれど、当時はアメリカに楯突く形の記事は恐ろしくて書くことが出来ず、アメリカのトヨタバッシングが終息して漸く記事にすることが出来たのでしょうか。

 もし前者であればジャーナリストとして感度が鈍すぎます。後者であれば、それは読者、ひいては日本国民に対する背信行為だと思います。

 さらに記事は、一民間企業であるトヨタに対して「日本企業は足をすくわれないよう、品質管理の徹底はもちろんのこと、リスク管理能力も高める必要がありそうだ」などと、人ごとのように教訓を垂れていますが、一体トヨタに対して、何をどうしろと言うのでしょうか。

 自国の民間企業を外国政府の不当な取り扱いから守るのは
日本政府の責務です。外国政府の不当な日本企業叩きの真実を報道するのは日本のマスコミの使命です。

平成22年12月25日   ご意見ご感想は こちらへ   トップへ戻る    目次へ