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韓国企業への技術流失を報じない日本のマスコミ

5月29日の産経新聞は、「【日曜経済講座】経済本部長・谷口正晃 総合力で強み、日系電子部品」と言う記事で、次のように報じていました。
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 ■世界の製造業の命運握る
 東日本大震災で電子部品工場が被災し、自動車やデジタル家電などの生産が世界中で停滞。日本の電子部品の実力が再認識された。世界の製造業の命運を握る日本の電子部品とはどのような種類があるのか。また、なぜライバルの追随を許さないのだろうか。・・・
(中略)
 特許、製造ノウハウ、独自の製造装置などで守られる日系の電子部品だが弱点はある。人材流出だ。数千億円を投じて開発した半導体、液晶などの製造ノウハウも、人材引き抜きでライバル国での製造が可能になってしまった。
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 以前から密かには言われていたことですが、韓国のサムスンとかLGとかの企業が、短期間で半導体や液晶パネルの製造で日本企業に追いついたのは、日本企業からの人材引き抜きがあり、企業秘密ではあるが知的財産権として保護されない、貴重な「製造ノウハウ」が流失したからだと言われていました。

 仮に韓国企業ににとっては法に触れない行為であっても、日本企業にとっては
元社員達の「守秘義務違反」を問える背信行為と言っていいと思います。

 企業にとっては、「製造ノウハウ」は特許などと並ぶ知的財産であり、これを漏洩、流失させた者に対しては、厳しい非難(可能であれば法的な処罰)が浴びせられて当然です。法に触れなければ何をしてもいいと言うことではありません。

 しかるに、日本のマスコミはこの実態をほとんど報じることはありませんでした。
 この背信行為によって、わが国の企業が被った甚大な損害の事実と、その背信者の実態が広く報じられることになれば、被害の拡大は防げたかもしれません。しかし、日本の新聞はこの事実を当時も今も具体的に報じることがありません。

 反対に韓国の新聞は、中国の企業に自国企業の製造ノウハウが流失することに非常に敏感です。それはかつての自分達の姿であり、それによって被る損害の大きさを知っているからです。

平成23年5月29日   ご意見ご感想は こちらへ   トップへ戻る    目次へ