A148
新聞再販制度を巡る本末転倒の議論


 2月16日の読売新聞は「新聞再販制度を維持」、「公正取引委員長人事 杉本氏が所信」という見出しで、次のように報じていました。
-----------------------------------------------------------------------------
 衆参両院の議院運営委員会は15日政府が公正取引委員会委員長の同意人事案として提示した杉本和幸元財務次官に対する所信聴取を行った。杉本氏は質疑で新聞社が販売店に対して小売価格を指定できる新聞の再販売価格維持(再販)制度について、「現在に至るまで、
方針を変更すべき状況の変化が生じているとは承知していない。今この制度の見直しを行うことは考えていない」とのべ、・・・公正取引委員会が、新聞の同一紙・全国同一価格での販売を定める「特殊指定」についても、「特に今の段階で見直す必要があるとは考えていない」と、撤廃は不必要だとの見解を示した。・・・
----------------------------------------------------------------------------

 「再販制度」や「特殊指定制度」を変更すべき事情がないと言っていますが、メーカーが小売価格を指定する「再販制度」や、公正取引委員会が、新聞の同一紙・全国同一価格での販売を定める「特殊指定」は、
市場経済における公正取引の大原則に反するもので、かかる制度や指定は「禁止」が大原則です。新聞を例外とするならば、その理由を明確にしなければなりません。

 しかるに、今回の報道では、再販については「方針を変更すべき状況の変化が生じているとは承知していない」、特殊指定についても、「特に今の段階で見直す必要があるとは考えていない」とあるのみで、必要性を何ら明らかにしていません。

 「再販」や「特殊指定」は、
廃止する理由があるかどうかではなく、存続させる理由があるかどうかを議論しなければなりません。公正取引委員長(および読売新聞)の議論は本末転倒しています。

 公正取引委員会(読売新聞)が本末転倒の議論しかできなかったのは、新聞という商品を公正取引の
例外とすべき根拠が乏しいことの証であると思います。
 新聞の「再販」と「特殊指定」は単なる
新聞業界の「既得権」として維持されているに過ぎません。

平成25年2月17日   ご意見ご感想は こちらへ   トップへ戻る    目次へ