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鳩山由紀夫は総理大臣になったとたん愚かになったわけではない−なぜ愚かな人間が総理大臣になってしまったか−


 11月18日の産経新聞は、「読書」という書評欄で、「『破壊外交 民主党政権の3年間で日本は何を失ったか』阿比留瑠比著」というタイトルで次のように述べていました。
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「破壊外交」 民主党政権の3年間で日本は何を失ったか
 ■本質は日本を売り渡すこと
 「民主党政権の3年間で日本は何を失ったか」という副題が本書の全てを物語る。政治、経済、安全保障という国家の根幹から震災復興に至るまで、およそ全ての分野で日本を破壊したのがこの3年だった。

 本書が一般の評論家やジャーナリストによるものと一線を画すのは、著者が新聞記者として政治に直接触れる現場から繰り出された報告の集大成であるからだ。そして、とかく日本人が忘れがちな、外交は内政の延長という常識を、身につまされたような気持ちで読者は思い知らされる。民主党の「破壊外交」は民主党が破壊した内政の延長線上にあり、その「破壊外交」が再度内政に還元されていく。そんな国家破壊のメカニズムが民主党政権の本質だった。

 著者のIZAブログは人気が高く、累計3500万アクセスを超えている。スペースや時間の関係で新聞記事にできなかった素材を丁寧に並べて読者に分かりやすく解説してくれる。その超人気ブログを再構成し、厳選された情報を時系列に並べ、さらに現在の視点から民主党政権の外交政策を俯瞰(ふかん)した本書は、日本人が軽視しがちな外交の重要さを切々と訴える。

 心ある人が本書を一読すれば、悔しくていても立ってもいられなくなり、大げさでなく悔し涙を流すこともあるだろう。取り返しのつかない外交判断の間違い、失われた貴重な時間を思うと、
3年前の総選挙が何か魔物に取り憑(つ)かれた凶事(まがごと)かのように思えてくる。

 「日本列島は日本人だけのものではない」「普天間は最低でも県外」「東シナ海は友愛の海」という鳩山元首相の空疎な言葉から始まる迷走は大きく日本の進路を誤らせ、今日の危機的状況を招いた。鳩山、菅、野田の3首相が何をやったのかを直視するだけで、3年前の選挙の反省を日本人はするだろう。だが、
メディアが作り上げた現政権は、あらかじめ外交が失われていた政権だった。そんな、現政権の本質は日本を売り渡すことだった。この恐ろしい状況を事実の羅列として、本書は教えてくれる。(産経新聞出版・1365円)

 評・西村幸祐(評論家、ジャーナリスト)
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 「鳩山元首相の空疎な言葉から始まる迷走は大きく日本の進路を誤らせ、今日の危機的状況を招いた」と言う点には、全く異論はありません。

 鳩山がいかに愚かな人物であったかは、異論を差し挟む余地がありません。問題は、
なぜこのような愚かな人間が総理大臣になってしまったかと言うことです。
 記事は、「メディアが作り上げた現政権」と言って、マスコミにその原因を求めていますが、正鵠を射た指摘だと思います。

 鳩山は総理大臣になったとたんに、
急に愚かになったわけではありません。彼が愚かな人物であることは以前から分かっていたはずです。彼の周囲を取材して、今まで彼が何をして何を言ってきたかを知れば、容易に知ることがだ来たはずです。まともな記者であればそれを記事にすることは容易であったはずです。
 ところが日本のマスコミはそれをしませんでした。なぜでしょうか。それは、日本のマスコミが
鳩山同様に愚かであるか、他意があるかのどちらかだと思います。

 今、衆議院が解散し選挙が始まりますが、マスコミは有権者が判断を誤らないように十分な情報を提供しているかというと、決してそうではありません。
乏しい情報と短い選挙運動期間で、有権者が再び判断を誤る可能性は否定できません。日本のマスコミはなぜ国民をミスリードすることを止めないのでしょうか。

 それは、日本のマスコミは国民の意見、多数意見が政治に反映することを望んでいないからです。国民の多数意見が反映して強力な政府が出来て、合目的的な外交を展開しては困るのです。彼等は日本がこのまま支離滅裂な外交を展開し、迷走し続けることに危機感を持ってはいないのです。

 評者は「現政権の本質は日本を売り渡すことだった」と言っていますが、それでは彼等は日本をどこへ売り渡そうとしていたと言うのでしょうか。

 
アメリカ政府もマスコミも決して鳩山政権、菅政権を批判しませんでした。日本の政権が愚かで、無力であることはアメリカにとっては決してマイナスだけではないのです。だからアメリカの政権もマスコミも決して民主党政権を批判することは無かったのです。

平成24年11月18日   ご意見ご感想は こちらへ   トップへ戻る    目次へ