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なぜ、民放のBS(衛星放送)はつまらないか-視聴率競争を避ける公然たるカルテル行為の存在-


 11月12日の読売新聞は、「BSの視聴率 どう調査? 1社に委託 6局の週平均を公開」と言う見出しで、次のように報じていました。
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2013.11.12 (読売)
[テレビ知り隊]BSの視聴率 どう調査? 1社に委託 6局の週平均を公開
東京朝刊

 BSの世帯普及率は70%を超え、視聴可能世帯は全国で約3900万世帯に達する。しかし、地上波のように、
番組の成績が視聴率で語られることはない。視聴率は調査しているのだろうか。なぜあまり目にしないのだろうか?
 NHKについては、委託を受けたビデオリサーチ社が、関東地区に限り、地上波と同じ機械式で算出している。NHKの連続テレビ小説「あまちゃん」の、BSプレミアムでの期間平均視聴率は5・5%だった。

 一方、民放のBS局も共同で同社に委託し、こちらは日記式で視聴状況を調査している。当初はBS日テレ、BS朝日など5局で年2回の調査だったが、現在はBS11が加わり、毎月行っている。TwellVはここには参加せず、独自調査をしている。
 調査期間は、その月の第1週。無作為に抽出した全国の約1000世帯に調査票を送付。15分単位で、リアルタイム(同時)で視聴したチャンネルに印を付けてもらう仕組みだ。

 算出された視聴率は、スポンサー向けのデータという位置付け。公表されるのは、ゴールデンタイム(午後7〜10時)、プライムタイム(午後7〜11時)、全日(午前6〜同0時)の3区分における6局合計の週平均接触率だけ。番組ごと、ごとの視聴率は明らかにされない
地上波のような視聴率競争を招かないよう、調査開始時に各局が取り決めた方針が、現在も踏襲されているからだ。

 ちなみに、2013年9月度のゴールデンタイムは17・5%(6局計)。調査を始めた05年6月度の10・4%(5局計)に比べ、7・1ポイント増えた。共同調査を行うBS6局の幹事社のBS朝日によると、プロ野球を始め、スポーツ中継の視聴率が別格で、映画、紀行番組も人気という。
 視聴可能世帯が増えたことで、個々の番組の視聴率に関心を持たれたり、「なぜ機械式で調査しないのか」と問い合わせを受けたりするというが、現行の調査方法を変更する予定は当面ないようだ。(田中誠)
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 地上波では常識の「視聴率」が、なぜ、BSではないのかと言う点について、この田中誠記者は平然と、「番組ごと、局ごとの視聴率は明らかにされない。地上波のような視聴率競争を招かないよう、調査開始時に各局が取り決めた方針が、現在も踏襲されているからだ」と、述べていますが、私はこの無神経さ、厚かましさに唖然とするほかはありませんでした。

 民放のBSはなぜ、韓ドラが多いのでしょうか。なぜ番組なのかコマーシャルなのか分からないショッピング(通販)番組が多いのでしょうか。一体これらの番組の視聴率はどれぐらいなのでしょうか。いつも疑問に思っていました。多分視聴率は非常に低いであろうと思います。

 そしてその理由は、BSの民間放送局は全部地上波の放送局と重複するので、BSの視聴率が上がれば、地デジの視聴率がその分低下するので、民放各社はBSはやる気がないからだと思います。
 民放各社はもともとBSをする気は全くないものの、BSの新規参入によって地上波の競争相手が増えると競争が激化するので、競争相手が増えることを回避するためだけに自らBSの放送免許を申請・取得したに過ぎないのです。マスコミと癒着している総務省はそういう彼等に放送免許を与えたのだと思います。

 従って民放BS局としては、地デジの視聴率を奪われないためには、極端に言えばBSの視聴率なんかどうでもいい、むしろ視聴率が低い方がいいと言うのが本音であると思います。そういう放送局からは免許を取り上げて、他の意欲的な企業に新規参入の機会を与えるべきです。

 今回この記事を見て、彼等が、“視聴率競争を招かないように”意図して視聴率の公表をしていないことが分かりました。これは大きな驚きです。視聴率を公表しない放送局とは、売上高を公表しない商社、マーケットシェアを公表しないスーパーと同じです。およそ健全な市場経済の下ではあり得ない業界です。
 さらに、各局が「
視聴率競争を招かないように、局ごと、番組ごとの視聴率調査を公表しないことを取り決めている」というのは、明らかにカルテル行為です。

 マスコミ業界はきわめて
不健全な業界です。この“視聴率カルテル”に限らず、新聞の再販特殊指定、閉鎖的な記者クラブの存在など、カルテル体質が骨の髄まで染みついた業界です。
 この現状に対して、何の問題意識も持たず、何の対応もしていない
公正取引委員会というのは、存在する意義がないと思います。

平成25年11月13日   ご意見ご感想は こちらへ   トップへ戻る    目次へ