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公務員と民間企業の社員に対する朝日新聞のダブル・スタンダード(福島の被災現場で、患者搬送任務を拒否した公務員(消防隊員)を批判しない者に、東電の社員を批判する資格はない)


 5月20日の朝日新聞は、「福島第一の原発所員、命令違反し撤退 吉田調書で判明」という見出しで、次のように報じていました。
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福島第一の原発所員、命令違反し撤退 吉田調書で判明
(木村英昭 宮崎知己)
2014年5月20日03時00分
http://www.asahi.com/articles/ASG5L51KCG5LUEHF003.html

 東京電力福島第一原発所長で事故対応の責任者だった吉田昌郎(まさお)氏(2013年死去)が、政府事故調査・検証委員会の調べに答えた「聴取結果書」(吉田調書)を朝日新聞は入手した。それによると、東日本大震災4日後の11年3月15日朝、第一原発にいた
所員の9割にあたる約650人が吉田氏の待機命令に違反し、10キロ南の福島第二原発へ撤退していた。その後、放射線量は急上昇しており、事故対応が不十分になった可能性がある。東電はこの命令違反による現場離脱を3年以上伏せてきた。・・・
(以下略)
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 朝日新聞は東電とその社員を批判していますが、東日本大震災直後に福島県に派遣された群馬、岐阜、静岡3県の
緊急消防援助隊は政府の要請にもかかわらず、福島第1原発付近の入院患者の搬送を断わりました。理由は消防隊員の安全が確保できないからと言うものでした。(北海道新聞 http://www.hokkaido-np.co.jp/cont/nuclear0323/125017.html )
 この時朝日新聞は彼等消防隊員(公務員)を批判したのでしょうか。マスコミは誰も批判していなかったと思います。

 朝日の記事は、命令に反したとして東電社員を批判していますが、彼等とて身の安全を第一に考えたとしても不思議はありません。危険の程度にもよりますが、
民間企業の労働者は「生命・身体の危険を顧みず」命令に従う義務はありません。それを命じるのは“不当労働行為”です。東電の社員を非難するのであれば、原発付近の入院患者の搬送を拒否して帰った、公務員達にも厳しい非難を浴びせなければなりません。
 そうでなく、
命令に反したことを問題とするなら、それは東電社内の問題で、それによって被害が拡大したかどうかとは別問題です。別問題は別問題として検証すべきです。

平成26年5月24日   ご意見ご感想は こちらへ   トップへ戻る    目次へ