A172
真の謝罪と反省はゼロ、詭弁に終始した朝日新聞の「吉田調書」謝罪会見
9月12日の産経新聞は、朝日新聞の「吉田調書誤報」記者会見について、下記の通り報じていました。
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吉田調書、記事取り消し 朝日新聞会見詳報(2−2)
2014年09月12日 産経新聞 東京朝刊 社会面
≪慰安婦報道≫
■「広い意味での強制性あったと」
(中略)
−− 8月の(慰安婦報道に関する)特集記事では、吉田証言を取り消したが、多くの朝鮮人女性が無理やり連れて行かれたことは否定していない。今も見解は変わらないのか
杉浦取締役 「強制連行は、そういった事実はないと認めた。しかし、いわゆる慰安婦、自らの意思に反した形で、日本軍兵士の性の相手をさせられたという広い意味での強制性はあった」
(中略)
−− 8月の慰安婦検証(記事)について、内容に自信があると社長がおっしゃいましたが、あの記事の中で、(記事を執筆した)植村隆元記者の記事の中に事実のねじ曲げはないと書かれている。しかし、(元慰安婦の)金学順さんが親に、妓生(キーセン)へ売られたことは周知の事実ですし、明らかな事実のねじ曲げであると思いますが
杉浦取締役 「朝日新聞としては、『妓生イコール慰安婦だから仕方ない』という考え方は取っていない。妓生学校にいたということをあえてそこで触れる必要はないと考えていた。そういう意味でねじ曲げではないと考えている」
−− そうすると、金さんがまさか「自分で戦場に連行された」と言ったということですか。ほかの裁判やインタビューではそういうことは一切言っていない
(中略)
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吉田調書、記事取り消し 朝日新聞会見詳報(2−1)
2014年09月12日 産経新聞 東京朝刊 その他
朝日新聞の「吉田調書」と慰安婦問題の報道をめぐる11日の記者会見の要旨は次の通り。
◇
■社長「読み解く過程で評価誤った」
□木村伊量社長の説明
◆吉田調書報道と会見までの経緯
(中略)
−− 一定の思惑を持って記事を書いたのではないか
杉浦取締役「そういうことではありません。非常に秘匿性の高い資料であったために、吉田調書を直接目に触れる記者の数を限定しておりました。もう一つは取材にあたった記者たちは福島原発事故の取材を長く続けている、いわば専門的な知識を有する記者でした。その結果、取材班以外の記者やデスクの目に触れる機会が非常に少なく結果としてチェックが働かなかったと判断している」
−−(吉田調書報道の)取材班の体制は
杉浦取締役 「非常に流動的な取材班なので、何人と特定して人数をあげることはできない」
−− 小人数ということだったが
杉浦取締役 「デスクは1人。記者は何人もおります」
−− 調書を見られるのは何人か
杉浦取締役 「その人数については、申し上げられません」
−− 調書では吉田氏も第2原発に避難して結果的によかったと発言している
杉浦取締役 「結果的に申し上げればそのことを最初の記事で書くべきだった。実は朝日新聞デジタルでは取り上げているが、事後的な発言として新聞では割愛した。結果的に(この発言を)新聞で取り上げるべきでした」
(中略)
−− (吉田所長の)命令を聞いたという(福島第1の)職員の方の取材は行ったのですか
杉浦取締役 「取材はしたが話は聞けなかったということです」
−− 一人も話を聞いていないのに記事にしたのか
杉浦取締役 「はい」
−− (吉田調書報道に関して)誤報と認めたことはいいが、何を誤りと考えているのがあいまい。命令はあったが伝わっていなかったことを誤りというのか、命令があったかどうかもさだかではないのか
杉浦取締役 「命令があったことは事実と考えています。東京電力の職員が命令を知っていながら、意図して背いて第2原発に撤退してしまったという事実はなかったということです。つまり、命令が行き届かなかったり、混乱のなかでその命令を聞いた人たちまでがすべて第2に撤退したという印象を与える記事を書いたことが間違いだったと思います」
−− 吉田調書を普通に読むと、あのような報道にはならないと感じる。ある方向性が決まっていて、都合のいい発言があったのでその部分だけを引っこ抜いたという印象を受ける。慰安婦報道とまったく同じ構図ではないのか
杉浦取締役 「都合のいい方向に記事をねじ曲げるということは、まったくございません」
−− 報道の被害を受けたのは(収束作業にあたった)福島50(フィフティーズ)の方々や吉田所長のご家族だと思うが、こういった方々に直接謝罪することは考えているか
杉浦取締役 「どういう対応ができるのか真剣に対応して参りたい」
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杉浦さんは慰安婦の「強制連行」はなかったと言っています。しかし「広い意味での強制性はあった」と言っています。
「広い意味」とか「強制性」とは聞き慣れない言葉です。広い狭いの範囲も、「強制性」と「強制」とどこがどう違うのか、定義も基準も全くない中で、「強制連行はなかったが、広い意味での強制性はあった」などとは、何の意味もない言い訳のための言い訳に過ぎません。
そういう一方で杉浦さんは、慰安婦の一人金学順さんについて、「(元慰安婦の)金学順さんが親に、妓生(キーセン)へ売られたことは周知の事実ですし、明らかな事実のねじ曲げであると思いますが」という記者の指摘に対して、「朝日新聞としては、『妓生イコール慰安婦だから仕方ない』という考え方は取っていない。妓生学校にいたということをあえてそこで触れる必要はないと考えていた。そういう意味でねじ曲げではないと考えている」と答えています。
元々売春婦であった者が、兵隊相手の売春婦になったことは、元々素人の娘であった者がだまされて兵隊相手の売春婦にさせられたのとは、決定的な違いであり、この事実を隠したことは間違いなく「ねじ曲げ」に該当すると思います。
それにもかかわらず、「そういう意味でねじ曲げではない」と、強弁していますが、杉浦さんが杉浦流を貫くのであれば最低でも、「広い意味でのねじ曲げ性はあった」と言う事になると思います。
ここだけではありません。吉田調書に関しても、記者が、「調書では吉田氏も第2原発に避難して結果的によかったと発言している」と指摘しているのに対して、杉浦さんは、「結果的に申し上げればそのことを最初の記事で書くべきだった。実は朝日新聞デジタルでは取り上げているが、事後的な発言として新聞では割愛した。結果的に(この発言を)新聞で取り上げるべきでした」と答えた上で、それでも、「都合のいい方向に記事をねじ曲げるということは、まったくございません」と答えています。
これも知っている事実をあえて隠し、結果的にはねじ曲がった記事ができあがったのですから、杉浦流に言えば「広い意味でのねじ曲げ性はあった」と言う事になると思います。
杉浦さんは「強制」の有無が争点の時は、争点をできるだけ広義に解釈して、自らの主張を正当化し、「ねじ曲げ」の有無が争点になると、争点をできるだけ狭義に解釈して自らの主張を正当化するという、アン・フェアな態度に終始しています。
平成26年9月12日 ご意見・ご感想は こちらへ トップへ戻る 目次へ