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「国境なき記者団」による「報道の自由度」ランキング、日本は180カ国中で韓国(60位)以下の61位 読売新聞は無視して報道せず


 2月13日の各紙は「国境なき記者団」による「報道の自由度ランキング」を次のように報じていました。
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「報道の自由度」韓国は60位
2015年02月13日 産経新聞 東京朝刊 国際面

 国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(RSF、本部パリ)は12日、世界180カ国の「報道の自由度ランキング」を発表した。朴槿恵大統領への名誉毀損(きそん)で産経新聞の加藤達也前ソウル支局長が在宅起訴された韓国は、順位を前年の57位から60位に下げた。RSFは加藤前支局長が在宅起訴された際、非難する声明を出していた。日本は順位を2つ下げ、
61位となった。特定秘密保護法の施行などが理由という。(ベルリン 宮下日出男)
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朝日新聞デジタル
国境なき記者団「報道の自由が悪化」 
旅券返納も批判
パリ=青田秀樹
2015年2月13日05時05分

 国際NGO「国境なき記者団」(本部・パリ)は12日、「報道の自由度ランキング」を発表した。北欧諸国が上位で、北朝鮮や中国が最下位グループなのは例年通りだが、世界中で状況が悪化していると強調。対テロの名のもとに進む盗聴などにも警鐘を鳴らした。

 180の国・地域の状況を調べた。上位はフィンランド、ノルウェー、デンマークの順。下位は北朝鮮(179位)、シリア(177位)、中国(176位)など。

 過激派組織「イスラム国」をめぐっては、米国人ジャーナリストの殺害などを例に挙げ、「敵とみなした記者らを容赦なく排除する」と批判した。一方で、対テロの名のもとにフランスが個人の監視手続きを簡単にしたり、英国が記者らの個人情報を収集したりしたことにも懸念を示した。

 日本は二つ順位を下げて
61位。昨年12月に施行された「特定秘密保護法」をとりあげ、「『不当に』情報を得た記者らも懲役刑の対象となった」と指摘した。

 今回のリポートには含まれないが、シリアに渡ろうとしたフリーカメラマンの旅券を日本政府が取りあげた問題について、アジア担当のベンジャマン・イスマイール氏は朝日新聞に「明らかに報道の自由の侵害だ。取材に行くかどうかはメディアやジャーナリストが決めるものだ」と強調した。(パリ=青田秀樹)
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ニュース詳細 NHK
「報道の自由度」 日本は
61位
2月12日 23時45分

ジャーナリストの国際団体、「国境なき記者団」は、各国でどれだけ自由な報道が認められているか分析した報告書、「報道の自由度」ランキングを発表し、紛争地域ではメディアが情報戦に巻き込まれたり、攻撃の対象になるケースが増えているとして、懸念を示しています。
日本は61位で、前の年よりも2つ順位を下げました。

「報道の自由度」ランキングは、パリに本部を置く「国境なき記者団」が、毎年発表していて、2014年の調査では世界180の国と地域が対象となりました。
報告書では、報道の自由が後退する事態が世界中で見られると指摘し、紛争が続くシリアやイラクなどの中東地域やウクライナでは、非政府の組織が繰り広げる激しい情報戦にメディアが巻き込まれたり、情報を止めるためにジャーナリストが攻撃の対象になったりしているとしています。
具体的なランキングでは、リビアが154位と順位を17下げたほか、イラクが156位、シリアが177位などとなっています。
また、ウクライナ情勢を巡り欧米との対立が続くロシアは、独立系のメディアに対する締めつけが強まっているなどとし、152位となっています。
一方、上位の国は、5年連続1位となったフィンランドを筆頭に、ノルウェー、デンマークと続き、上位20か国のうち15か国をヨーロッパの国が占めました。
日本は61位で、前の年よりも2つ順位を下げました。
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 まず、
日本が61位(前年59位)と意外に低位であるのにまず驚きます。日本は言論の自由が保証された国で、日頃政府による制限を感じることがないだけに意外の感を禁じ得ません。産経新聞、朝日新聞は「特定秘密保護法」に言及していますが、この法律は昨年制定されたもので、実際にこの法律による制限が起きたわけではありません。例えそれが理由でランクが2つ低下したとしても、影響は微々たるものとしかいえません。

 そんなことよりも、
180カ国中61番目であることについて、マスコミ関係者はなぜその理由に関心を示さないのでしょうか。こちらの方が遙かに重大な問題です。
 
政府に原因があるならば、あるいは政府以外に原因があるならば彼等は声を大にしてその非を責めるべきです。当然そうあるはずです。

 それにもかかわらず、微々たる影響でしかない「
特定秘密保護法」や、今回の順位には無関係のフリー・カメラマンの旅券返納には触れて、それ以外の大きな原因に触れないのは、その原因が彼等にとって都合が悪いものだからだとしか考えられません。その原因とは日頃言われているところの、全国ありとあらゆる官公署に張り巡らされていて、癒着と談合の温床となっている独占的な記者クラブ制度の存在と、マスコミの寡占体質だと思います。日本のマスコミ業界(特に紙新聞業界)は、新聞メーカーによる流通支配をはじめとして、市場の透明性、公正性を甚だしく欠いていて、国民の言論の自由を大いに損なっているのです。

 日本の紙新聞業界の雄である
読売新聞は、このニュースを全く報じることなく黙殺しているのは、彼が非公正市場の覇者だからです。

平成27年2月13日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ