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食品の小売価格はメーカーの思惑通りには決められない NHKはなぜ一斉値上げと煽るのか


 4月1日のNHKニュースは、「調味料やアイス‥身近な食品 相次ぎ値上げ」と言うタイトルで、次のように報じていました。
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調味料やアイス‥身近な食品 相次ぎ値上げ
NHK 4月1日 5時11分

 原料費や人件費の上昇を受けて、調味料やアイスなど身近な食品が今月も相次いで値上げされます。

 食品メーカーでは、「味の素」が、家庭用のカップスープ29品目の価格を1日からおよそ4%から8%値上げします。

 「カゴメ」は、トマトソースなどトマトを使った家庭用調味料の6品目を1日からおよそ4%から9%値上げします。

 これに先立って「Mizkan」は31日、納豆の6品目をおよそ4%から10%値上げしています。

 「サントリースピリッツ」は、国産と輸入のウイスキー、8つのブランドの29品目を、1日からおよそ11%から25%値上げします。

 公益財団法人の「塩事業センター」は、1日から主に家庭向けの塩の2つの商品を24年ぶりに35%程度、値上げします。

 値上げの理由について、各事業者は、新興国での需要拡大や円安、それに天候不順によって、原料の仕入れ価格が上昇していることなどを挙げています。

 また、長年、価格が据え置かれてきた定番のアイスも値上げが相次ぎます。「井村屋」が「あずきバー」を24年ぶりに、「赤城乳業」は「ガリガリ君」を25年ぶりに、いずれも1日の出荷分から、1本60円から70円に10円値上げします。

 理由について両社は人手不足による物流コストや人件費の上昇を挙げています。

 外食業界では、「リンガーハット」が1日から近畿と東海の96店舗で、「長崎ちゃんぽん」や「長崎皿うどん」などおよそ20のメニューを10円から80円値上げするなど、食品に関わる幅広い分野で値上げが広がっています。
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 NHKは単に「値上げ」と言って、国民を煽っていますが、周知のように加工食品などの
価格には、小売価格と卸売価格があります。
 また、小売価格は再販価格の拘束が例外として公正取引委員会に認められているもの以外は、メーカーは小売価格(再販売価格)を指定することができず、小売価格は単に
希望小売価格であるに過ぎません。
 
卸売価格は問屋とかスーパーなどが相手ですから、取引関係の強弱によって個別に決定されるはずで、メーカーが一方的に決めることはできないはずです。
 いずれも
公定価格ではないのです。

 それにもかかわらずNHKは、食品メーカーが相次いで値上げと報じていて、小売価格なのか卸売価格なのか、小売価格なら希望小売価格なのか、
具体的なことを一切明らかにせず、4月1日から店頭の小売価格が一斉に引き上げられるかのように報じています。

 しかし、多くの消費者は食品の小売価格は
店により、また時期により異なり、一律でないことを常識として知っています。
 4月1日からニュースの通り一斉値上げなど信じていないか、あるいは半信半疑であろうかと思います。

 なぜNHKはこのように不正確で、いい加減で、値上げムードを煽る報道をするのでしょうか。
 物価上昇で国民生活が脅かされると言って、安倍政権を批判するのが目的かも知れません。それとも2%程度の物価上昇を目指している“アベノミクス”を応援しようとしているのでしょうか。

平成28年4月5日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ