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NHKのニュースはなぜ被疑者の元の職業が自衛官の時だけ、「元自衛官」を強調するのか

 10月23日のNHKニュースは、「爆発物で自殺図ったか 死亡の元自衛官の衣服から遺書 宇都宮」と言うタイトルで、次のように報じていました。
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爆発物で自殺図ったか 死亡の
元自衛官の衣服から遺書 宇都宮
10月23日 18時11分 NHK

爆発物で自殺図ったか 死亡の
元自衛官の衣服から遺書 宇都宮
 23日昼前、宇都宮市の中心部にある公園や駐車場で相次いで爆発があり、このうち公園で男が死亡し、近くにいた中学生ら3人が爆発に巻き込まれて重軽傷を負いました。男は市内に住む
72歳元自衛官と確認され、衣服からは遺書が見つかっていることから、警察は、元自衛官が何らかの爆発物を使って自殺したとみて詳しい経緯を調べています。

 23日午前11時半すぎ、宇都宮市本丸町の宇都宮城址公園付近で複数の爆発音が聞こえたと消防に通報がありました。警察によりますと、爆発があったのは宇都宮城址公園内の駐輪場の付近で、男の遺体が見つかりました。遺体は爆発による損傷が激しいということです。また、公園内にいた3人が爆発に巻き込まれ、このうち64歳のパート従業員の男性と58歳の男性がいずれも大けがをし、市内に住む中学2年の14歳の男子生徒が足に軽いけがをしました。

 その後の調べで、遺体の歯形などから、死亡したのは宇都宮市針ヶ谷町の
元自衛官栗原敏勝容疑者72)と確認されました。衣服からは「命をたって償います」などと書かれた遺書が見つかったということで、警察は、何らかの爆発物を使って自殺したみて殺人未遂などの疑いで調べることにしています。

 また、この爆発の同じ頃には、公園から200メートルほど北側にある近くのコインパーキングで、爆発音とともに3台の車が燃え、このうち1台は
元自衛官が所有している車だということです。さらに、午前11時すぎには、公園から8キロほど離れた元自衛官の自宅が全焼する火災があり、警察は火災から爆発に至る一連のいきさつを詳しく調べることにしています。

元自衛官の自宅近くの女性「爆発音が何度も」
 宇都宮市の宇都宮城址公園から8キロほど離れた場所にある
元自衛官の自宅で起きた火災の様子については、午前11時すぎに近くに住む住民が撮影していました。映像には、住宅が赤い炎に包まれ、黒い煙が勢いよく立ち上っている様子が映っていました。

 映像を撮影した近所の女性は「バーンという雷が落ちたような爆発音が聞こえ、外に出たら住宅から黒い煙が上がっていました。その後も、爆竹のようなバンバンバンという爆発音が何度も聞こえ、周囲の住民はみんなパニックに陥っていました。怖かったです」と話していました。

公園近くにいた女性「とても怖い」
 公園で爆発が起きた当時、20メートルほど離れた駐車場にいたという68歳の女性は「公園内で異常な音がしましたが、まつりをやっていたので、私を含めて周りの人たちは一瞬何が起こったかわかりませんでした。少しタイミングがずれていたら自分も巻き込まれていたかもしれないので、とても怖いです」と話していました。

 爆発があった公園内の駐輪場の近くに住む男性は「大きな爆発で家全体が揺さぶられるような振動がありました。慌てて外に出て公園に駆けつけると、年配の男性が倒れていて、『助けてくれ』と声を上げていました。自宅近くでこんなことが起き、とても不安です」と話していました。
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 容疑者の栗原敏勝が自衛官だった時の階級、役職、在職期間、自衛官以外の職歴、自衛官退職後の職業などが不明ですが、72歳という年齢から考えて、少なくとも
退職後10年〜20年は経過していると思われます。
 となると、よほど動機とか犯行の手口などから、この犯罪と以前の職業が自衛官であったことが密接不可分でもない限り、前職を報じる必要があるのかまず疑問を感じます。しかも、容疑者の氏名が分かっているにもかかわらず、名前で呼ばずに
執拗に「元自衛官」と繰り返し呼んでいることに強い違和感と、NHKの自衛官に対する悪意を感じます。

 これがもし前職が
NHKの職員であったとしたら、例え退職後20年経過していても、事件がNHK職員であったことと何の関係がなかったとしても、「元NHK職員」と報じるのでしょうか。ニュース報道の中で、容疑者の氏名ではなく、繰り返し「元NHK職員が・・・」と報じるのでしょうか。そんなことは絶対にないと思います。

平成28年10月24日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ

平成28年10月25日 (追記)
 10月24日の産経新聞は、下記のように伝えていました。
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宇都宮爆発 容疑者、離婚調停に不満?
2016年10月24日 産経新聞 東京朝刊 社会面

 捜査関係者などによると、栗原敏勝容疑者は昭和38年に陸上自衛隊に入隊し平成11年に退官した。最後は陸自の航空学校宇都宮校がある北宇都宮駐屯地(宇都宮市)に勤務。ヘリコプターの航空管制や気象分析を担当する管制気象隊の管理部門や学校の気象教官を務めていたという。最終階級は2佐だった。

 「昨日も一緒にお茶を飲んだが、特に変わったところはなかった」。栗原容疑者の自宅近くで工場を営む女性(57)は、特に“異変”を感じなかったと振り返る。女性によると、栗原容疑者が家族とともに移り住んできたのは約20年前。「口数が少なく、温厚な人。トラブルなんか聞いたことがない」という。

 ただ、約5年前から妻子らと別居、1人暮らしをするようになったという。別居前は「夫婦間で口げんかが絶えなかった」と振り返る近隣住民もいる。

 一方、インターネットのブログや動画投稿サイトには、栗原容疑者が投稿したとみられる動画があり、自殺をほのめかすような文言も書き込まれていた。動画は全て実名で投稿。妻との離婚調停をめぐる裁判所への不満などがつづられている。今月5日に公開された動画では「もう預金住む場所もなくなる」「全てに負けた。私は社会に訴える」などの趣旨の文章を投稿していた。

 別の動画では、退官パーティーの様子や自衛官時代の自身の経歴を紹介し、「航空学校宇都宮分校で平成11年4月26日、55歳で定年を迎えました」などとつづっていた。
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 動機に於いても、その手口に於いても栗原容疑者の犯行は、過去の自衛隊勤務経験とは何の関係もなさそうです。それにもかかわらず、
執拗に「元自衛官」と連呼し続けたNHKのニュース報道は、自衛隊員を貶めるためには手段を選ばずと言うところで極めて悪質です。