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日本に“日本人(黄色人)至上主義者”はいない  −白人至上主義を取り上げた「プライムニュース」の印象操作−

 8月30日に BSフジの「プライムニュース」という番組で、「白人至上主義」を取り扱っていましたが、その番組最後の部分で「日本でも同和、在日、外国人に対する差別が歴然とある。今回のアメリカの騒動も対岸の火事ではない」と、日本を非難していました。

 〈長い番組なので最初の部分と最後の部分だけを紹介します〉
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2017年8月30日(水)
 
白人至上主義と米本音
(プライムニュース テキストアーカイブより)  http://linkis.com/EQvkN


キャスター  反町理(フジテレビ報道局解説委員長)
キャスター  秋元優里(フジテレビアナウンサー)
ゲスト    辻清人 自由民主党衆議院議員
       モーリー・ロバートソン ジャーナリスト
       山口真由 アメリカ・ニューヨーク州弁護士

(最初の部分)
q 検証…米国『白人至上主義』 人種差別問題の再燃

秋元キャスター「さて、トランプ政権を巻き込んで現在、アメリカの大きな社会問題となっています白人至上主義ですけれども、まずその発端となった事件についてあらためて見ていきます。アメリカのバージニア州シャーロッツビルで今月12日、南北戦争の南軍の英雄で
奴隷制度を守るために戦ったリー将軍の銅像の撤去に抗議するために白人至上主義など極端な思想を掲げる団体が集会を開いていたところ、これに抗議をするグループと大規模な衝突に発展し、抗議グループの1人が死亡、多くの負傷者を出すという事態になりました。辻さん、どう見ていますか、今回の事件?」

辻議員「シャーロッツビルは、それこそ人口が5万人弱の非常に小さな町でして。私もバージニア州のアーリントンというところに住んでいたので車で3時間ぐらい西に行ったところの、本当に第3代合衆国大統領のトーマス・ジェファーソンさんの居住地があったりとか、非常にきれいな町なのですが。このリー将軍というのは南北戦争の負けてしまった南の軍の将軍だったのですけれど、リー将軍の銅像は
他の地域にもありまして、2015年にニューオリンズ州でこのリー将軍の銅像というのが撤去されていたり、2016年にはヒューストンのリー将軍のリーハイスクールというリー将軍の名前をつけた高校があって、それが不適当だということで改名されたりと、過去にもそういう…。ここ最近、特に公民権運動が1960年代をピークにアメリカで起こって、その次の世代の、その人達の、子供の世代の人達が現在、30代、40代の方々を中心に人口構成も変わってきていますし、そういった方々からそういう運動というのが過去にもあったんです、今回が初めてではないですが。今年、トランプ政権が発足し、そういう特に排外主義的な勢いというのがついて、特にメディアにも注目され、人数も集まり、今回、シャーロッツビルという、特にイマンシペイションパークという解放公園という名前の公園に、この銅像があるわけですよ」

反町キャスター「それちょっと何か矛盾して…」

辻議員「矛盾しているんです」

反町キャスター「解放公園に奴隷制度を守るために戦った、言葉もそう言い切っていいのかはわからない、要するに、南軍の将軍だったんですよね、リーさんは?」

辻議員「ただ、無理やり日本と比較した時にこの人というのは、南の南軍というのは、
賊軍扱いにされていた。その中でリー将軍というのは、たとえば、日本に置き換えた時に、西郷隆盛さんみたいな人ですよ…」

(以下は項目のみ記載 内容は省略)

q トランプ大統領の対応

q 白人比率減少で米国は?

q ジャーナリスト モーリー・ロバートソン氏の提言 『寛容は力』

q 米国ニューヨーク州弁護士 山口真由氏の提言 『曖昧の美学』

q 辻清人 自由民主党衆議院議員の提言 『覚悟と寛容』

(最後の部分)
(テキストアーカイブには記録がなく、動画より採録)
言いたい事、聞きたい事
視聴者からのメールを紹介

(途中省略)

岡山県の視聴者
日本でも同和在日外国人などに対する差別が歴然とあります。アメリカの今回の騒動も対岸の火事ではないと思いますが、日本への処方箋はあるのでしょうか』

ジャーナリスト・モーリー・ロバートソン
 アメリカで起きたことは近い将来日本でも形を変えて起きるリスクはあるかと思います。ですからどんな国にも様々な不公平や差別は存在しますので、「日本国内ではまず歴史を直視すること。そとて漂泊してみんなで逃げてしまうのではなく、今おっしゃられた属性による差別、この軸で何があったのかをきちんと見つめること。そして議論からも逃げず、どちら側も聞きたくないことを聞く勇気を持つこと。そしてみんなでトンネルを抜けよう」。勇気があれば良い方向へ行くと思います。

キャスター 反町 
 でも痛いんですよね、その話。ずいぶん前だけど自分たちの先輩達がこういうことをやっていたんだよって、アメリカもちゃんとそういうこと乗り越えて来てるんですか。

モーリー・ロバートソン 一部の人は乗り越えています。アメリカでリベラルだったオバマの時代には、過半数の人たちがそっちに乗っていた。

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 この番組は2時間の長時間番組で興味深く見ていましたが、最後の数分間の一視聴者からの、「日本でも同和、在日、外国人に対する差別が歴然とある。今回のアメリカの騒動も対岸の火事ではない。日本への処方箋は」というメールと、そのメールに対する対応で、すべてがぶち壊しになってしまったと思います。
 番組終了間際に、どさくさに紛れるかのように放送されたのはなぜでしょうか。番組を文書化して記録した、「テキストアーカイブ」という部分には、なぜかこの部分は完全に抜け落ちています。

 この番組に限ったことではありませんが、この種の主張ではまず
「差別」とは何か、その定義を明確にすべきです。相手に対する嫌悪・敵意の表現がすべて差別という訳ではありません。差別とは狭義には本来人種差別を指す言葉です。
 そして次に、批判すべき“差別”の
実態を明らかにした上で、その実態が人種差別に当たるか否かを議論すべきです。「同和」、「在日」、「外国人」と十把一絡げにした安易な非難は粗雑過ぎて無意味です。
 そして「差別」に該当する実態があった場合に、その差別がアメリカの「白人至上主義」と同列に非難するべきものである事を明らかにすべきです。

 
歴史的・政治的経緯や民族性・宗教の相違に基づく嫌悪憎悪敵対意識世界各地の国民の間、民族の間で存在しますが、それは「白人至上主義」、「人種差別」とは明らかに区別すべきものです。

 この番組のテーマはアメリカにおける「白人至上主義」のはずですが、モーリー・ロバートソンは視聴者のあいまいで漠然とした指摘に対して、いきなり「日本でも、どんな国でも様々な不公平や差別はある」と、「白人至上主義」を「様々な不公平や差別」に
話をすり替え、一般論化していますが、これは論外の暴論です。白人至上主義は明白な人種差別であるのに対して、(広義の)差別、不公平はそれよりも幅広い概念であって人種差別とは限りません。
 投稿者もモーリー・ロバートソンも中身のない議論を進めて、それに対してキャスターの
反町も、無条件に相づちを打って迎合しています。

 また、モーリー・ロバートソンは
「属性」による差別を非難していますが、属性とそれに属する人の特定行動の間に相関関係が見られ、その行動が好ましくないものであれば、属性による差別は必ずしも不当とは言えません。差別する方から見れば、身を守るために必要不可欠と言える場合があります。

 例えば
韓国・朝鮮人には嘘つきが多いと言う事は、彼等自身が認めるところですが、そうであれば、日本人の中に大事な取引を行うに当たって、韓国・朝鮮人を避ける者がいたとしても、それを安易に差別と非難するのは不当です。

 差別された方は
被害者意識を募らせるのではなく、同胞の行動を批判し、改善する方向に力を入れるべきです。このような差別に日本人が遭遇したら、多分“差別”と批判するよりも、一部の同胞の不品行は全体の恥と考えて、そういう問題行動を改善する方向に動くでしょう。
 これはある種の
集団主義ですが、それは必要な動きです。人間は集団で行動する生きものでそれを批判する方が間違いです。行き過ぎた個人主義は百害あって一利もありません。

 このように差別の定義も実態の把握も、そのすべてが曖昧・漠然とした問題提起の中で、どうやって
有効で有意義な議論が成り立つのでしょうか。
 この「日本でも・・・」から始まる問答の部分は、必要な議論をすべて省略していて、今問題にされているマスコミによる
「印象操作」そのものです。
 それを敢えてするのは、多分投稿者は
有効・有意義な議論は望んでおらず(むしろ回避を望んでいて)、印象操作をすることだけが、目的なのだからだと思われます。 

 白人至上主義を取り上げた番組で、
「日本にも」と言うのであれば、それは当然「日本人至上主義(または黄色人種至上主義)」の存在を指摘するものであるはずですが、視聴者の主張に相づちを打った彼等は日本にそんな主張が存在すると思っているのでしょうか。
 幸か不幸か日本人と韓国・朝鮮人は
人種的にはほぼ同一に属し、外見から彼我を区別することは不可能で、日本人は朝鮮人を人種差別したくても出来ないのが実態です。

 しかるにモーリー・ロバートソンや反町の反応はその点を何ら確認することなく、
一人の視聴者の指摘に迎合しています。はじめから迎合ありきの強い印象を拭えません。

平成29年9月26日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ