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著者「まいん」の差別投稿による、ラノベ「二度目の人生を異世界で」が出荷停止…アニメ化中止 -読売新聞はなぜ「差別投稿」の内容を隠すのか 当の韓国の新聞(日本語版)は報じている-

 6月7日の読売新聞は、「著者が差別投稿、ラノベ出荷停止…アニメ化中止」と言う見出しで、次のように報じていました。
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著者が差別投稿、ラノベ出荷停止…アニメ化中止
2018年6月7日11時20分 読売

 テレビアニメ化が決まっていたライトノベル「二度目の人生を異世界で」の著者が、過去にツイッターで、中国や韓国に対する
差別的な投稿をしたとして、出版元のホビージャパンは7日までに、既刊18巻の出荷停止を決めた。

 また、10月から放送予定だったアニメの製作委員会は、製作の中止を発表した。

 同出版社はホームページで「
作品の内容とは切り分けるべき事項ではありますが、著者が過去に発信したツイートは不適切な内容であった」と説明。また、「作品中の一部の表現が多くの方々の心情を害している実情を重く受け止めております」とのコメントを発表した。著者のまいんさんは5日に、ツイッターで過去の投稿について謝罪している。
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 読売新聞は見出しでは「
差別投稿」、記事の中では「差別な投稿」と言っていますが、どちらが正しいのでしょうか。「差別」と「差別的」とは意味が違うと思いますが、あまり意識していないように思われ、最初からずいぶんいい加減な記事と感じます。
 記事は「差別的」と言うだけで、その
中身を何も報じていませんので、果たしてそれが「差別」か「差別的」なのか、それともいずれでもないのかは何とも判断のしようがありません。
 読売はじめ新聞各社は自分の思い通りに取材活動ができないと、
「読者の知る権利」を持ち出して、取材対象である相手を攻撃するのが常ですが、この記事は理由も明かさずに言うべきことを隠しており、読者の知る権利には応えていないと思います。

 ところがこのニュースは
韓国の新聞「中央日報(日本語版)」が「ヘイト・スピーチしていた日本ラノベ作家の作品、声優降板でアニ化中断」と言う見出しで、次のように報じていました。
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ヘイトスピーチしていた日本ラノベ作家の作品、声優降板でアニ化中断
2018年06月08日06時55分 [ⓒ 中央日報日本語版]
http://japanese.joins.com/article/087/242087.html?servcode

日本のある小説家が過去に
ヘイト・スピーチを繰り返していたことが明らかになり、作品のアニメ化が中断される事態となった。

7日、日本メディアによると、日本出版社「ホビージャパン」と「二度目の人生を異世界で」アニメーション製作委員会は「
まいん」というペンネームの作家が書いた小説『二度目の人生を異世界で』の出版とアニメ製作を中断すると発表した。

先月末、同小説のアニメ化の計画が発表されたが、作者が韓国と中国に対する
ヘイト・スピーチを繰り返していたことに対し、批判が殺到したためだ。まいんはツイッターに「日本の最大の不幸は、隣に国という世界最悪の動物が住んでいること」、「中国人が道徳心って言葉を知ってたなんて」などと書き込んでいた。

まいんは5日、「事実関係を正確に把握せず、深い考えもなく行った発言で、行きすぎた内容であったことを深く反省している」と謝罪文を発表したが、アニメに参加することになっていた声優4人が出演を辞退し、
原作の出版とアニメ化が中断された。
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 問題は「日本の最大の不幸は、隣に国という世界最悪の動物が住んでいること」「中国人が道徳心って言葉を知ってたなんて」言う部分ですが、これが
「差別」に該当するでしょうか。

 
「差別」とか「ヘイト・スピーチ」とは本来「人種差別」を指すものですが、この部分は人種的特徴を突いて攻撃しているわけでもない、単なる侮辱的で不快な罵声に過ぎません。非難されるべきではあっても、いかなる意味合いでも「(人種)差別」には該当しないと思います。それに日本人と韓国人は人種的にはほぼ同一に属し、差別したくてもできないというのが実情です。
 読売新聞が「差別」と言う言葉の意味を
拡大解釈して、この部分を「差別」と言ったのは、誤りだと思います。

 そして読売新聞はなぜ読者に事実を伝えなかったのでしょうか。事実を伝えることが、被害者を傷つけることを憂慮したからでしょうか。
韓国の新聞の日本語版が事実をそのまま報じていることから考えて、それは考えられません。韓国人はそんなにやわな国民ではありません。むしろ人を傷つけて平気な国民です。
 読売新聞は
差別でないものを差別と非難していることを認識しているからこそ、批判・反論を避けるために差別の具体的な内容を記載しなかったのだと思います。言わば確信犯です。

 読売新聞が書いているように、
過去の投稿と「作品の内容とは切り分けるべき事項」です。作品が差別的だから制作を中止するというなら、あり得る考え方だと思いますが、過去の投稿を理由に全く別の作品の出版や映画化を中止する・取り消すのは、言論の自由・表現の自由に関わる妨害に該当します。看過して良い問題ではありません。その背景を含めて詳細を報じるのが新聞の使命です。それをしないから、日本のマスコミは国境なき記者団から報道の自由が世界で72番と評価されるのです。

平成30年6月10日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ