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マスコミ関係者らの皇族利用(悪用)は厳しく非難されるべき −大嘗祭への公金支出を批判された秋篠宮様の記者会見の様子を、質問した記者の姿・形を隠し、社名も名前も明かさずに報じるNHK−

 11月30日のNHKテレビは、「秋篠宮さま 53歳に 会見の全文」と言うタイトルで、次のように報じていました。
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秋篠宮さま 53歳に 会見の全文
11月30日 0時18分  NHK

秋篠宮さまは30日、53歳の誕生日を迎えるにあたって記者会見に臨まれました。会見の全文です。

新たなお立場への抱負
(問1)殿下にお伺いします。殿下は来年5月の代替わりに伴い、皇位継承順位第1位の皇嗣となられます。新たなお立場への抱負をお聞かせください。公務の在り方や分担について、新天皇となられる皇太子さまとどのような話し合いをされ、殿下がどのようにお考えになられているのか、あわせてお聞かせください。

(中略)以下、タイトルのみ
平成30年を振り返り (問2)
眞子さまのご結婚について (問3)
佳子さまについて (問4)
悠仁さまについて
この1年 印象に残った出来事は (問5)


即位の行事や儀式について
(関連質問1)
殿下にお尋ねいたします。お代替わりに関する日程や規模について、いろいろ宮内庁の方でも発表があり、決まりつつありますが、先ほど殿下には皇嗣となられる公務の在り方についてのお考えをお聞きしましたが、即位の行事や儀式についてもお考えがあればお聞かせいただきたく思います。

(秋篠宮さま)行事、そういう代替わりに伴う行事で、いわゆる国事行為で行われる行事、それから皇室の行事として行われるものがあります。

国事行為で行われるものについて、私が何かを言うことができるかというと、なかなかそういうものではないと思います。そういうものではないんですね。

一方、皇室の行事として行われるものについてはどうか。これは、いくつかのものがあるわけですけれども、それについては、ある程度、例えば
私の考えというものもあってもよいのではないかなと思っています。

(記者)
具体的に。

(秋篠宮さま)具体的にもし言うのであれば、例えば、即位の礼は、これは国事行為で行われるわけです、その一連のものは。ただ、大嘗祭については、これは皇室の行事として行われるものですし、ある意味の宗教色が強いものになります。

私はその宗教色が強いものについて、それを国費で賄うことが適当かどうか、これは平成の時の大嘗祭の時にもそうするべきではないという立場だったわけですけれども、そのころはうんと若かったですし、多少意見を言ったぐらいですけれども。

今回も結局、その時を踏襲することになったわけですね。もうそれは決まっているわけです。ただ、私として、やはりこのすっきりしない感じというのは、今でも持っています。

整理の仕方としては、一つの代で一度きりのものであり、大切な儀式ということから、もちろん国もそれについての関心があり、公的性格が強い、ゆえに国の国費で賄うということだと。平成の時の整理はそうだったわけですね。

ただ、今回もそうなわけですけれども、宗教行事と
憲法との関係はどうなのかという時に、それは、私はやはり内廷会計で行うべきだと思っています。今でも。

ただ、それをするためには相当な費用が掛かりますけれども。大嘗祭自体は、私は絶対にすべきものだと思います。ただ、そのできる範囲で、言ってみれば身の丈にあった儀式にすれば。少なくとも皇室の行事と言っていますし。そういう形で行うのが本来の姿ではないかなと思いますし、そのことは宮内庁長官などには、かなり私も言っているんですね。

ただ、残念ながらそこを考えること、言ってみれば話を聞く耳を持たなかった。そのことは私は非常に残念なことだったなと思っています。

眞子さまと小室さんについて (関連質問2)

(以下略)
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 この報道を見てまず思うことは、質問した記者の姿・形(テレビに映るのは大勢の後ろ姿だけ)はもちろん、
氏名も所属企業(新聞社、放送局名)も何も明らかにされていないと言うことです。記者は所属会社の担当者としてその席にいるのですから、質問する時は社名と氏名を名乗るべきであり、またそれをニュースとして報道するものは、読者・視聴者に伝えるべきです。これは単に会見者である宮様への礼儀と言うだけでなく、報道を受け取る読者・視聴者に対する義務でもあると思います。
 質問者あっての回答であるにも拘わらず、答えられる
宮様のお姿と音声は報じて、質問する記者の社名・氏名、姿、音声をすべて隠すのは不可解です。



 記者達はいかなる意味においても、国民の代表でも、平均的な国民でもなく、特殊な職業人であり、質問内容も問1〜5までとは異なり、特殊な内容である事を考えると、隠すのは目的があってのことではないかと思います。

 ここで思い出すのは、先般11月8日の
アメリカにおけるトランプ大統領の記者会見で、CNNの記者とトランプ大統領の激しいやり取りの様子が、そのまま(もちろん記者の社名と氏名と共に) 全世界に放映された場面です。
 それと比較して今回のように
質問者を匿名でしかも姿も見せず、質問している音声も流さずに、要約した内容を文字とアナウンサーの声だけで報じるのでは、視聴者が両者の応答について適否を判断する情報としては不十分で、何のためのテレビ放送か分かりません。



 今回姿を隠して報道されたのは、報道する側に他意があるからだと思います。それは何でしょうか。
 記者達の「問1〜5」まではあらかじめ提出されたもので、それ以外の「関連質問1、2」は、当日その場で出された質問と言われています。

 問題の質問「即位の行事や儀式について」は、「関連質問1」であり、あらかじめ用意された質問ではないとされています。そうであれば質問者としても最初から「大嘗祭の費用負担」などとは言い出しにくいでしょう。
 そこで質問者は、まず当たり障りのない質問として、「即位の行事や儀式」と切り出したのでしょうが、今回直接の「即位」の当事者でない秋篠宮様に質問するのは、やはり唐突の感は否めません。そして、宮さまが「私の考え」と言う言葉を使われるや、それを捉えて、
すかさず「具体的に」と切り返し、今度は宮様が待ってましたとばかりに、核心の議論を展開されるあたりは、周到に準備されたやり取りである事を窺わせます。

 殿下のお答えは、その場で初めて聞かれた質問にしては、内容が多岐にわたっているにも拘わらず、
流ちょうで要領よく答えられたと思います。これは、質問の内容をあらかじめご存じだったのではないかという疑問が生じてもおかしくないと思います。

 これをテレビでそのまま流されたら、多分視聴者には、
質問した記者の印象が強く残ったと思います。そして、殿下のご意見表明は、記者の質問と一体のものと受け取られたと思います。
 この点が
報道するものが避けたかった点であろうと思います。NHKは殿下のご意見表明が、質問者と示し合わせての回答と受け取られるのを避け、宮様の自発的なご意見の表明であると印象づけたかったのだと思います。その為に質問者の姿・形を隠したのではないでしょうか。

 そして、その
同じ11月30日に、大嘗祭への公費支出は違憲とする220名の集団訴訟が起こされたニュースが報じられました。あまりにタイミングが良すぎて、とても偶然とは思えません。
 菅官房長官は宮様のご発言は
憲法に抵触しないと簡単に言いますが、本当にそれで済ませて良いのでしょうか。

 憲法は天皇(皇族)が政治に関与することを禁じています。また、
公務員は国民全体の奉仕者であって、天皇の臣下ではないことも定めています。公務員である宮内庁長官が宮様の意に従うのは誤りであり、「聞く耳を持たない」と言うお言葉には違和感があります。

 現行憲法はアメリカがアメリカのために作ったものであり、これを金科玉条のごとく扱うことが誤りである事言うまでもありませんが、殿下が
「大嘗祭」を現行憲法の視点から論じるのであれば、宮様が論じること自体が問題を含んでいます。
 天皇(皇室)がどうあるべきかは、国民が決めることであって、
天皇(皇族)が決めることではないのです。少なくとも現行憲法の上からは。今回のマスコミ関係者らによる皇族利用(悪用)は厳しく非難されるべきです。

平成30年12月2日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ