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大阪のダブル選挙を巡る、NHKの街頭インタビューは、世論操作(情報操作)ではないか −街頭インタビューは世論調査と同じ−

 4月8日のNHKニュースは、統一地方選挙の大阪ダブル選挙の結果を、次のように報じていました。
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大阪ダブル選挙 維新が
制すも「都構想」には賛否両論
2019年4月8日 12時34分選挙 NHK

 7日投票が行われた統一地方選挙の前半戦で、いわゆる「大阪都構想」の是非が主な争点となった大阪府知事選挙と大阪市長選挙のダブル選挙は、いずれも大阪維新の会が
制し、府議会と大阪市議会の議員選挙でも大きく勢力を伸ばしました。一夜明けた8日、大阪市内では『都構想』への賛否両論の声が聞かれました。


 いわゆる「大阪都構想」の是非が主な争点となった大阪府知事選挙は、構想の実現を掲げた大阪維新の会の新人で、前の大阪市長の吉村洋文氏が、大阪市長選挙は、大阪維新の会の新人で前の大阪府知事の松井一郎氏が、初めての当選を果たし、大阪維新の会がダブル選挙を制しました。

 また、合わせて行われた
府議会議員選挙では、大阪維新の会が過半数を占めたほか、大阪市議会議員選挙でも過半数に2議席まで迫り、都構想の実現に向けて弾みをつけた形となりました。

 これについて、70代の女性は「むだがなくなると思うので
都構想には賛成だ。これから子どもたちが増えるように、子育てをしやすくなる施策を進めてほしい」と話していました。

 また、60代の男性は「東京一極集中の中、
大阪も頑張ってほしいということで、多くの人が投票したのではないか。大阪も日本の中心になるように期待している。大阪をもっと活発にしてほしい」と話していました。

 一方、70代の男性は「知事と市長が入れ代わっただけで、大阪は、あまり変わらないと思う。都構想も目的がはっきりしないので、やっても
税金のむだ遣いだ」と話していました。

 さらに、30代の女性は「都構想は、正直
よくわからないが、住民投票をやるのであれば、都構想のよいところや悪いところを知る機会を得られるようにしてほしい」と話していました。
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 今回の選挙結果は、
都構想を推進する大阪維新の会知事、市長は大差で圧勝府議、市議は順調に議席を伸ばし府議は単独で過半数を獲得する結果となりました。これを総括すれば維新の「圧勝」、「大勝」と言って良いと思います。

 しかるにNHKの報道は見出しが、「大阪ダブル選挙 維新が
制すも『都構想』には賛否両論」で、大勝利である事を報じるのを避けています。
 「賛否両論」がある事は
当たり前のことで、それを選挙前に言うならともかく、推進派の勝利が明らかになった後で言うことは、明らかに勝利を否定する、認めないと言う意図が感じられます。

 それから注目すべきは街頭インタビューの内容です。インタビューとして放映されたのは、以下の4名です。

Aさん
70代の女性 は「むだがなくなると思うので
都構想には賛成だ。これから子どもたちが増えるように、子育てをしやすくなる施策を進めてほしい」
Bさん
60代の男性は「東京一極集中の中、
大阪も頑張ってほしいということで、多くの人が投票したのではないか。大阪も日本の中心になるように期待している。大阪をもっと活発にしてほしい」
Cさん
70代の男性は「知事と市長が入れ代わっただけで、大阪は、あまり変わらないと思う。都構想も目的がはっきりしないので、やっても
税金のむだ遣いだ」
Dさん
30代の女性は「都構想は、正直
よくわからないが、住民投票をやるのであれば、都構想のよいところや悪いところを知る機会を得られるようにしてほしい」

 この4人の発言をもって
「賛否両論」というので有れば、NHKはこのインタビューの詳細を明らかにする必要があります。この種の街頭インタビューはNHKのニュース報道ではおなじみのものですが、いつも感じている疑問があります。その疑問は下記の4点です。

 1.NHKはこの報道に際して、
全部で何人にインタビューしたのか。
 2.インタビューの相手は、誰が
どのような基準で選んだのか。あるいは無作為か。
   無作為の場合具体的な抽出方法はどのようなものか。
 3.今回の回答者4人は
質問した全員か、それとも一部か
 4.一部の場合、全員の中から4人を
どういう基準で選抜したのか、あるいは無作為に
   抽出したのか、などです。

 NHKはたびたび全国
世論調査をしていますが、ニュースで報道するときは必ず、対象者の数、無作為に抽出したこと、具体的な抽出法、回答者の数などを報じています。しかるに街頭インタビューではそれらが全くありません。

 今回の4人の発言では、
選挙の結果から考えると、全体としてかなりのずれが感じられます。都構想について4人の発言を大まかに分けると以下のようになるかと思います。
  Aさん 
賛成
  Bさん 
肯定的(否定的ではない)
  Cさん 
反対
  Dさん 
否定的?(肯定的ではない)

 今回の街頭インタビュー結果の報道をまとめれば、単に
賛否両論を併記したに止まり、今回の選挙結果(維新の大勝利、都構想が有権者に支持された)を反映していない(矛盾している)と言うことになると思います。なぜそういう内容になったのでしょうか。

 4人の回答者の内
3人が高齢者ですが、前回の住民投票の時には、高齢者は反対者が多く、若者は賛成者が多いという結果がでていましたので、その点からも今回のインタビューは公平・中立性の点で問題があり、ニュース番組として不適切であったと言えると思います。このような番組作りは世論操作(情報操作)に当たる疑いが残ります。

 NHKはこの街頭インタビューの全体像を明らかにすべきです。それをしないと
対象者の選定が公平であったか、回答の取り扱いが公平であったか疑念が残り、最悪の場合は世論操作(情報操作)の疑いを払拭できません。

平成31年4月9日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   
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