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父親の育児休暇取得が「フィンランドでは当たり前」と言うが、だったらどうだと言うのだろうか
10月14日の読売新聞に、「フィンランドでは男女含めて、国会議員が産休・育休を取ってもニュースにならない」、だから日本も・・・と言う趣旨の記事がありました。
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[政なび]育休「当たり前」の話
2019/10/14 05:00 読売
「フィンランドでは男女含めて、国会議員が産休・育休を取ってもニュースにならない」
在日フィンランド大使館に、そう聞いた。妻の出産に合わせた育休の検討を表明していた小泉進次郎氏が、先の内閣改造で環境相に起用され、国会議員の育休について関心が高まっている日本との落差を感じた。
現職議員として育休を取得した経験を持つ自民党の女性議員は「国会議員は自由業。時間の融通は利くので、どんどん育休を取得すればいい」と話す。自身の閣僚在任中に取得したわけではないが、小泉氏の育休に対しても「閣僚の代わりを務めるために、副大臣や政務官がいるのだから」と背中を押す。
同党では「初入閣の小泉氏にとって、今が一番大事な時だ」と、育休に否定的な意見も聞かれる。ただ、社会全体が「男性の育休は当たり前」という雰囲気だったら、どうだろう。
職種によって、働き方は様々だ。国会議員が率先して育休を取れば世の中が変わるという見方もあれば、国民全体が男女問わず育休を取得しやすい環境整備を進めることが先決だとする指摘もある。
北欧諸国ではフィンランドに限らず、育休が「当たり前」だからこそ、例えばノルウェー国会では、育休取得議員の半数近くを男性が占めている。
少なくとも、今回の育休宣言が一つのきっかけになったことは間違いない。狭い枠にとどまらず、幅広い視点での議論が望まれる。(太田晶久)
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記事は「フィンランドでは当たり前」と言っていますが、だからどうだと言うのでしょうか。「フランスでは」、「スウェーデンでは」、「ノルウェーでは」・・・、耳にタコができるほど聞く言葉ですが、「それで、だからどうなのだ」と聞いてみたくなります。
世界には200近い国があり、内政の実態は千差万別と思われますが、「フィンランドでは当たり前、だから日本も・・・」と言うのは、「フィンランドは完全無欠の国である、だから、無条件に彼の国に倣うことが、正しい判断・正しい選択である」、とでも言いいたいのでしょうか。
しかし、それならいかなる問題についても、常に「フィンランドに倣え!」と主張しているはずですが、決してそうではないと思われます。
問題により、見習う相手が異なるのはなぜなのでしょうか。フィンランドといえども、問題によっては正しくない、誤った事が行われているからなのでしょうか。
もしそうであれば、「フィンランドは完全無欠の国である」という前提に反することになってしまいます。「フィンランドでは当たり前、だから日本も・・・」と言いたいのであれば、「フィンランドでは当たり前である」事だけでなく、それがすべての国にとって、日本にとって、正しく、妥当であることを改めて主張しなくてはならないはずです。
それをすることなく「フィンランドでは・・・」、と安易に言及し、その雰囲気をうらやむのは、「安易な扇動記事」と言わざるを得ません。
「狭い枠にとらわれている」と言うのは、男の育休が必要とされていない社会に、まず「育休ありき」で、それを日本の社会に押し込むことを最優先にしている、この記事に対して言うべき批判ではないでしょうか。また、「育休」普及のために「環境整備」が必要と言っていますが、環境に合った政治が求められるのであって、「育休ありき」の為に「環境を変えよう」というのは、本末転倒でしかないと思います。
令和元年10月18日 ご意見・ご感想は こちらへ トップへ戻る 目次へ