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日本の国会には当たらない中国の「全人代

 NHKのニュースで中国の全国人民代表大会(略して全人代)の事を報じるとき、必ず枕詞のように「日本の国会に当たる」と言っています。しかし、これは誤りです。中国は共産党による一党独裁の国で、三権分立の近代国家ではありません。三権分立のない国には、国会に当たるものはないのです。日本の国会は民主主義の原則に基づき、国民の直接選挙によって正当に選挙された議員によって構成されています。一方中国の全人代は、いかなる方法で委員が選ばれるのか詳細は知りませんが、普通選挙が行われていないことは間違いありません。全人代に限らず、中国は建国以来、いかなるレベルでも、一度も選挙をしたことがなければ、しようと考えたこともない国なのです。このような重要な相違を無視して、「日本の国会に当たる」というのは、中国で民主主義が行われているかのような誤解を招きかねません。

 反対に台湾の李登輝
総統を報じるときは、何の注釈もなく「総統」と報じていますが、台湾の総統はヒトラーやムソリーニと違い、民主的な直接選挙で選ばれた総統で大統領に当たります。台湾の言葉ではアメリカのクリントン大統領もフランスのシラク大統領も総統なのです。日本のマスコミは李登輝総統を日本語で報じるときは、李登輝大統領と報じるべきなのです。もし、どうしても総統と報じたいのなら、「大統領に当たる」と言う注釈をつけるべきです。

平成11年3月7日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ

平成30年9月23日 追記

 9月23日のNHKのテレビニュースは、下記のニュースを報じていました。

 いつからかは分かりませんが、
「国会」から「立法を担う」に変更になっていました。理由は分かりませんが、誰かが指摘したのでしょうか。それともこのページを見たのでしょうか。
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中国 「子どもの数制限」撤廃へ準備 少子高齢化に備え
2018年9月23日 13時37分 NHK

 以前、
一人っ子政策として知られた中国の産児制限=夫婦がもうける子どもの数の制限は、現在2人までに緩和されていますが、今後急速な少子高齢化が懸念されることから、中国政府は制限の撤廃に向けて法改正の準備を始めました。

 中国で
立法を担う全国人民代表大会の常務委員会は、23日までに民法の改正案を発表し、この中で「結婚に際して夫婦双方は産児制限を実行する義務を負う」などとした条文を削除する方針を示しています。

(以下略)
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