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科学者の使命に反して福島原発処理水のデマ(風評)の蔓延に口を噤み、漁民の不安を肯定する科学者とNHK −悪質なデマ(風評)にストップを掛けるのが科学者とマスコミの使命ではないのか−

 4月13日のNHKテレビニュースは、「『死活問題だ…』 処理水めぐり懸念や風評被害対策求める声も」と言うタイトルで、次の様に報じていました。
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「死活問題だ…」 処理水めぐり懸念や風評被害対策求める声も
2021年4月13日 19時32分 福島第一原発  NHK
 東京電力福島第一原子力発電所で増え続けるトリチウムなど放射性物質を含む処理水の処分方法について、政府は国の基準を下回る濃度に薄めたうえで海へ放出する方針を決めました。東京電力に対し2年後をめどに海への放出を開始できるよう準備を進めることや、賠償も含め
風評被害への対策を徹底するよう求めています。

 福島県の漁業関係者の間では政府の決定について
風評被害への懸念の声が上がっていますが、こうした声は周辺の県の漁業者からも聞かれます。海外も含めた今回の決定をめぐる反応です。

漁業者 “
風評被害に強い懸念”<岩手 陸前高田>

 岩手県陸前高田市の漁業者は
風評被害に対する強い懸念を示しています。
陸前高田市小友町を拠点にカキやワカメの養殖を手がける水産会社代表の千田勝治さんは「三陸の海は福島ともつながっていて、とても他県のこととは思えないし人体に影響の無いようトリチウムの濃度を薄めても
風評被害による消費者の買い控えが起きるのではないか。漁業者はコロナ禍で需要が減る中でダブルパンチとなり、さらにひどい状況になると心配している」と強い懸念を示しました。

(中略)

茨城 大井川知事「問題は
風評被害対策をどう取るか」
 茨城県の大井川知事は内閣府の担当幹部とオンラインで会談し「決定は地元自治体としてしっかり受け止めさせていただくが、地元の納得を得る努力を続けてほしい」と述べ、
風評被害への対策を要望しました。

 大井川知事は13日午前、内閣府の松永明 福島原子力事故処理調整総括官とオンラインで会談しました。

 はじめに松永総括官は「安全性を厳格に担保することと
風評対策を政府一丸となって行うことを前提として海への放出を決定した。決定した経緯を丁寧に説明していくとともに風評被害対策に取り組んでいきたい」と説明しました。

 これに対し大井川知事は「決定は地元自治体としてしっかり受け止めさせていただく。できるかぎりの協力はするつもりだが地元の納得を得る努力を続けてほしい」と述べ、
風評被害への対策を講じるよう要望しました。

 会談のあと大井川知事は「海への放出はさまざまな選択肢を検討したうえでのやむを得ない選択だったと聞いたのでわれわれとしても
納得している。問題は風評被害対策をどう取っていくかだ」と述べ、政府の対策を注視する考えを示しました。

(中略)

 一方、千葉県で水揚げされた水産物について韓国と中国、それに台湾が今も輸入を禁止する措置をとっています。

千葉 熊谷知事
「安全性など政府が丁寧に説明を」
 千葉県の熊谷知事は「
政府は科学的根拠や国際的基準に基づいて判断したと思っている」と述べました。そのうえで「風評被害を防ぐ実効性のある取り組みを政府に求めていきたい。安全性などについても政府が丁寧に説明していくことが重要だ。漁業関係者の声を聞きながら丁寧なプロセスで進めていく必要がある」と述べました。

 千葉県は去年9月、国が周辺の県に意見を求めた聴取会で、副知事が放出による
風評被害が県内の水産業ばかりでなく観光業にも影響を与えかねないと指摘したうえで「対話を丁寧に重ね関係者の十分な理解と納得を得てほしい」と求めていました。
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 報道を読めば、漁業関係者が懸念しているのは、あくまで
「風評被害」であって、「実害」ではありません。海産物が汚染して、商品価値がなくなるという主張で無い事は明らかです。

 同日のNHKテレビニュースは、海洋放出が危険でないことについて次の様に報じていました。
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【詳報】処理水 海洋放出の方針 理解はどこまで…?風評対策は?
2021年4月13日 18時49分 NHK 福島第一原発
 東京電力福島第一原子力発電所の事故の発生から10年以上がたった今も増え続けるトリチウムなど放射性物質を含む
処理水。その処分方法について政府は、国の基準を下回る濃度に薄めたうえで海へ放出する方針を決めました。
 政府は7年余りにわたる検討を経て方針を決定しましたが、地元を中心に海洋への放出には
根強い反対があり、専門家は地元など関係者の理解や納得に課題を残したと指摘しています。これまでのプロセスや海洋放出の具体的な方法、風評被害対策の方針などをまとめました。
(中略)
 
そもそも、トリチウムとは…?トリチウムは日本語では「三重水素」と呼ばれる放射性物質で水素の仲間です。

 宇宙から飛んでくる宇宙線などによって自然界でも生成されるため、大気中の水蒸気や雨水、海水それに水道水にも含まれ、私たちの体内にも微量のトリチウムが存在しています。

(以下詳細は省略し、主に図表を中心に掲載します)

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国内の原発では
1リットル当たり6万ベクレルという基準以下であることを確認したうえで海に放出していて、海外でも各国で基準を定めて放出しています。

国の小委員会は
▽体内で一部のトリチウムがタンパク質などの有機物と結合し濃縮するのではないかといった指摘があることについては、体はDNAを修復する機能を備えていて動物実験や疫学研究からはトリチウムが他の放射性物質に比べて
健康影響が大きいという事実は認められなかったと結論づけています。

また
▽マウスの発がん実験でも自然界の発生頻度と同程度で原子力発電所周辺でも
トリチウムが原因と見られる影響の例は見つかっていないとしています。

その基準は?
トリチウムを環境中に放出する際の
国の基準は1リットル当たり6万ベクレル以下と定められています。

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国はトリチウムなどを含む処理水を海に放出する際の濃度について、
基準の40分の1の、1リットル当たり1500ベクレルを下回る水準まで薄めるとしています。


トリチウム放出量<国内の原発>

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国内の原発の1年間のトリチウムの放出量です(2019年度)。

トリチウム放出量<国外の原発>
国外の原子力施設でも運転をする際にトリチウムは発生し、
各国がそれぞれつくる基準に基づいて海洋や大気中へ放出されています。

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(以下略)

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 この報道から分かることは、日本国内の各原発で福島第一原発以外から大量のトリチウムが放出されているだけでなく、中国・韓国を含む世界の各国で日本を遙かに上回る大量のトリチウムが、日常的に放出されていて、なんら問題視されていないという事実です。

 その後の4月14日のNHKのテレビニュースでは、
「政府・東電 トリチウムなど含む処理水 放出にどう理解得るか」というタイトルで、次の様に報じられていました。
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政府・東電 トリチウムなど含む処理水 放出に
どう理解得る
2021年4月14日 5時58分 福島第一原発 NHK
 東京電力福島第一原子力発電所でたまり続けるトリチウムなどの放射性物質を含む処理水について政府は、13日、国の基準を下回る濃度に薄め、海に放出する方針を決めました。これに対し、地元などからは受け入れられないとする厳しい声
上がっており、2年後をめどとしている海への放出に向け政府と東京電力は広く理解を得ていく必要があります。
(中略)
名古屋学芸大 山本副学長「チェックシステムを」

 この決定について、国の小委員会の委員長を務めた名古屋学芸大学の山本一良 副学長は、NHKの取材に対し「タンクごとの濃度や薄めた後の
濃度のチェックなど技術と科学で精いっぱいのところまでやること。加えて、地元や国際機関の助けを借りてチェックしてもらうシステムを作らないといけない」と指摘しています。

福島大 小山教授「
国民的議論 必要だ」

 小委員会の委員だった福島大学の小山良太教授は「
放出を強行すると風評が拡大する。政府と国民の間の信頼関係を築く取り組みが重要で、理解のための国民的議論が必要だ」と述べました。

 政府の決定に対し地元である事がなどからは受け入れられないとする厳しい声も上がっているだけに、2年後をめどとしている海への放出に向け政府と東京電力は
広く理解を得ていく必要があります。
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 二人の学者は、いまごろになって、なお「チェック」とか、「国民的議論」とか、呑気なことを言っていますが、報道を見ると
漁業関係者が懸念しているのは、あくまで「風評被害」であって、「実害」ではないことが分かります。処理水の放出によって海産物が汚染して、商品価値がなくなることを心配している人はいません。

 また、諸外国の実情からも、わが国が決定した放出は極めて妥当であり、健康被害の恐れは無い事が分かります。
 
 報じられている中では、漁業者以外の
政治家・学者の中でも“風評被害”以外の“実害”の存在を指摘している人はいません。

 
問題はただ一つ「風評被害」だけなのです。「風評被害」という言葉は、こう言う時以外使われることがない言葉ですが、わかりやすく言えば、悪質な「デマ」に他なりません。

 そうであれば科学者・マスコミは、
風評(デマ)の震源地を確認・特定し、それを発している人達に非難の矛先が向かうようにすることが、必要不可欠です。
 しかるにマスコミは
震源地を特定・確認・取材して、その非を報道すると言うマスコミとして当然すべきことを何もしていません。震源地不明のまま“風評被害”の報道を続けるのは、極めて無責任であり考えられないことです。
 風評被害の
被害を報道していながら、その風評が誤りであること、震源地がどこかを報じないマスコミは、“風評”の加担者と言われてもしょうがないと思います。

 そう考えると、今回仮に漁業関係者に
“風評被害”が発生したとしても、それは天災でも、東京電力の過失による損害でもない、放出反対派と、学者と、マスコミ悪意と怠慢がもたらした人災と言うべきだと思います。

 
科学者マスコミ(特に日頃ネット上のフェイク・ニュースを非難している新聞社)は、デマをまき散らしている人達、反原発運動の一環として、放出反対運動をしている人達に対して、厳しい非難・批判をするのが当然の義務です。
 しかるに「反原発運動」の人達に気を遣い(内心で同調し)、
放出反対の非科学性を明確にして来なかった責任は重大です。また政府(安倍政権)も事なかれ主義で問題を先送りしてきた責任を否定出来ません。

令和3年4月16日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ