A226
司法公務員トップ(最高裁判事)の人事について、ほとんど何も報道せず、国民・読者の知る権利を封じ、マスコミの報道する義務を履行しない日本の新聞・テレビ業界

 6月5日の読売新聞は、「
最高裁判事に安浪・渡辺氏」と言う見出しで、新たに安浪亮介・大阪高裁長官と第一東京弁護士会所属の渡辺恵理子弁護士が任命されたことを、小さく報じていました。
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最高裁判事に安浪・渡辺氏
2021/06/05 05:00 読売
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 政府は4日の閣議で、7月に定年退官する小池裕・
最高裁判事(2日)と宮崎裕子・最高裁判事(8日)の後任に、それぞれ安浪亮介・大阪高裁長官第一東京弁護士会所属の渡辺恵理子弁護士任命する人事を決めた。最高裁の裁判官15人のうち、女性は引き続き2人となる。発令日はいずれも同9日以降。

 安浪亮介氏(やすなみ・りょうすけ)81年東大法。東京地裁所長、静岡地裁所長。奈良県出身。64歳。

 渡辺恵理子氏(わたなべ・えりこ)83年東北大法。お茶の水女子大監事、司法試験考査委員。宮城県出身。62歳。
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(該当記事)


(該当ページ全体)


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 記事は社会面の29ページの中でも最下段に、小さく、わずかな行数で、目立たない扱いで報じられています。

 最高裁判事とは、三権の中の
司法部門の最高位に位置する公務員の職種です。そうであれば、このような非常に簡単学歴・職歴だけしか報じないのは、何も報じていないに等しく、全く許しがたいことです。また、一面、政治面に掲載すべきで、どう考えても社会面最下段ではありません。

 学歴・職歴はもっと詳細に、学歴の専門は何か、司法界では何が
専門か、関わった主な裁判学界・業界の評価はどうか、本人は抱負を語っているのか、今回の任命に至る経緯はどの様なものであったのか、最高裁、日弁連から推薦の動きはあったのか、他に候補に挙がった人物は誰か等、主権者である国民には知る権利があり、新聞・テレビには報じる義務があります。その中で僅かに報じられているのが、“女性の人数”だけというのは象徴的なものを感じます。
 
アメリカでは連邦最高裁の判事に関しては、トランプ大統領の時も含めて、詳細が報じられています。

 そもそも
突然任命されたわけではないのですから、任命されてから結果だけを報じるのでは無く、他に候補者がいたのか、選考が始まってからの経緯も詳細に報じるべきです。司法の独立を口実にした秘密主義民主主義に反します。
 このような読売の報じ方は、司法の軽視と言うよりも、
国民(主権者)軽視(無視)と言うべきです。

 読売新聞のやり方は、読者は新聞社が報じること読んでいれば十分だ、
それ以上の事は知らなくて良い、知る必要は無いと言うものです。
 そして現在
読売新聞は、「奔流デジタル」という大規模な連載記事で、デジタル世界、ネットの世界の様々な問題点を指摘して、猛烈に批判していますが、仮に指摘されるような問題点があるとしても、ネットの世界はデメリットばかりではありません。デメリットを遙かに上回る大きなメリットがあります。
 それは新聞が
報じないこと、隠していることを知らせるという重要な役割を果たしていると言うことです。

 
国民不在の水面下公務員トップの人事が決まり、国民には結果が簡単に知らされるだけで、選考の理由・過程は何も知らされないと言うのは、民主主義不在の世界と言うべきです。中国と同じです。
 そして、更に問題なのは法律
学会、法律業界が、この国民排除に異論を唱えるどころか、一体となっているように見受けられることです。

令和3年6月10日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ