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内閣支持率の世論調査結果がなぜ1年後に大逆転するのか -国民に必要・不可欠の情報を提供していない日本のマスコミ 民主主義が健全に機能しないことが彼らの願い-

 9月6日の読売新聞は、「『次の首相にふさわしい』トップは河野氏23%、石破氏21%・岸田氏12%…読売世論調査」という見出しで、次の様に報じていました。
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「次の首相にふさわしい」トップは河野氏23%、石破氏21%・岸田氏12%…読売世論調査
20210906 0642 読売

 読売新聞社は4~5日、
緊急全国世論調査を実施し、次の首相にふさわしい政治家は、トップが河野太郎行政・規制改革相の23%で、石破茂・元幹事長21%、岸田文雄・前政調会長12%と続いた。自民党総裁選(17日告示、29日投開票)を巡っては、安倍前首相の支援を受ける高市早苗・前総務相が出馬に必要な推薦人20人の確保にメドをつけた。

 調査は、
菅首相の退陣表明を受け実施。自民党の政治家10人から選んでもらった。4位以下は、小泉環境相11%、安倍氏5%、高市氏3%、野田聖子・幹事長代行2%などとなった。菅首相を含め11人で尋ねた前回(8月7~9日調査)は、石破氏が19%、河野氏が18%と 拮抗きっこう していたが、今回調査で逆転した。岸田氏は前回4%、高市氏は同1%からそれぞれ上昇した。

 自民支持層に限ってみると、最多は河野氏の30%で、2位石破氏の21%に9ポイントの差をつけた。前回は河野氏24%、石破氏19%で5ポイント差だった。今回調査の3位以下は岸田氏12%、小泉氏10%、安倍氏8%、高市氏5%などで、上位の顔ぶれは全体と変わらなかった。

(以下余白)
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 果たして、この種の世論調査結果は信頼性が高いものなのでしょうか、

  退陣に追い込まれた
管政権の最後の支持率について、9月6日の読売新聞は、「首相退陣『当然』47%…本社世論調査 内閣支持最低31%」と言う見出しで次の様に報じていました。
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首相退陣「当然」47%…本社世論調査 内閣支持最低
31%
2021/09/06 05:00 読売
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 読売新聞社の緊急
全国世論調査で、菅首相が自民党総裁選に立候補せず、退陣することについて聞くと、「当然だ」が47%で、「その必要はない」は39%だった。支持政党別にみると、「当然だ」は野党支持層で67%、無党派層で48%と「その必要はない」を上回ったのに対し、与党支持層では「その必要はない」は50%で「当然だ」40%と逆転した。

 菅内閣の
支持率31%で、前回(8月7~9日調査)の35%から4ポイント下がり、昨年9月の内閣発足以降の最低を更新した。自民支持層の支持離れが目立ち、前回の70%から55%に下がった。不支持率は57%(前回54%)で、内閣発足以降最高となった。

(以下余白)
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 そして、僅か
1年前の昨年10月5日の読売新聞は、菅政権発足直後の9月19日~20日おこなった菅内閣の支持率について、次の様に報じていました。
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菅内閣、金ぴかの高支持率が「幻の城」にならないために
2020/10/05 15:00 読売

(中略)

 かたや、電光石火で天下取りを果たした菅首相は、前政権の遺産を破壊するどころか、最大限に活用している。「安倍路線の継承」を土台にしつつ、デジタル庁創設、不妊治療の保険適用と新たな政策を矢継ぎ早に打ち出し、順調に滑り出した。読売新聞が9月19~20日に行った全国世論調査では、
菅内閣の支持率は74%。内閣発足直後の調査では、小泉内閣(87%)、鳩山内閣(75%)に次いで歴代3位だ。ご祝儀相場どころではない。

 病気で退陣した安倍前首相への同情票も含まれるのだろうが、人気の要因は
「苦労人」のイメージだ。秋田県のイチゴ農家に生まれ、高校卒業後に上京して段ボール工場に就職。アルバイトで資金を貯ため、法政大学に進学した。その後、国会議員秘書、横浜市議会議員を経て47歳国会議員になった。勝手に貧しい家庭を想像する人もいるようだが、父親は町議会議員を務めるなど、比較的裕福だったようだ。ただ、最近では珍しい「たたき上げ」の国会議員であるのは間違いない。庶民から天下人に上り詰めた秀吉になぞらえる向きまである。


菅首相誕生を祝って、掲げられたのぼり旗(9月16日、秋田県湯沢市で)

 本人も
苦労話がうけるのは重々承知している。「秋田の話が良かったという人が多い。みんな俺がたたき上げだって知らないんだよ」。自民党総裁選の出馬表明記者会見後、菅氏は満足そうに周囲に漏らした。総裁選では自らの経歴を前面に打ち出し、圧勝した。

 高支持率を追い風に「さあ、仕事だ」と行きたいところだが、自民党議員はそわそわしている。菅人気に引っ張られ、自民党の支持率も上昇。対する野党の支持は相変わらず伸び悩んでいるとあって、「自民党の若手はほぼ全員早く選挙をやってもらいたい」(下村政調会長)というわけだ。衆院議員の任期満了は2021年10月。1年以内には衆院選はある。「
ぴかぴかの金メッキはいつか剥がれる。その前に解散してほしい」と声をひそめる不届き者までいる。

(以下略)
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1年前の菅政権発足時に報道された内閣の支持率は74%であり、彼が再選断念に至った今回の内閣支持率31%との乖離の大きさを見て、今の読売新聞の岸田・高市・河野の3候補が争う、総裁選挙の支持率報道は、果たして読者が各候補者の適否を判断するに十分な情報を提供していると言えるのか、疑問を持たざるを得ません。「たたき上げの苦労人=政治家の資質」ではありません。「ぴかぴかの金メッキ」と言う言葉からは、記事を書いた人間も、“金メッキ”の存在を承知の上で書いているように感じられます。

 政権発足時の内閣支持率が
歴代3位と報じられた菅政権と同じように、歴代第2位の高い支持率だった鳩山由起夫はどうだったのでしょうか。政権発足時の2009年9月15日の読売新聞は、次の様に報じていました。
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鳩山内閣支持
75% 歴代2位 連立「評価」49%/読売新聞社世論調査
2009.09.18 読売

 
鳩山内閣の発足を受け、読売新聞社が16日夕から17日にかけて実施した緊急全国世論調査(電話方式)で、新内閣の支持率は75%、不支持率は17%だった。発足直後の調査(1978年発足の大平内閣以降)としては、小泉内閣の87%(電話方式)に次ぐ2番目の高さとなった。支持する理由では「政策に期待できる」29%、「非自民の政権だから」25%、「政治主導の政策決定を目指している」24%が目立ち、自民党政治の転換への期待が、高い支持率につながったようだ。
 変革への期待は
政党支持率にも表れた。民主は51%で、衆院選直後の8月31日〜9月1日に行った前回調査の47%から4ポイント上がり、最高を記録。自民は19%(前回24%)に落ち込んだ。
 ただ、民主、社民、国民新の3党連立政権の枠組みを「評価する」と答えた人は49%、「評価しない」は39%だった。
 鳩山内閣が掲げる個別の政策への評価も分かれた。
温室効果ガスを2020年までに1990年比で25%削減する排出削減目標に賛成の人は74%。子ども手当支給については賛成60%が反対35%を上回った。しかし、高速道路の無料化には反対が61%と多く、賛成は30%。インド洋での海上自衛隊の給油活動を来年1月の期限切れまでに終了することについては賛成44%、反対39%と賛否が割れた。
 新内閣の顔ぶれでは、
菅副総理・国家戦略相の起用を「評価する」は68%。亀井金融・郵政改革相については「評価する」41%、「評価しない」43%となった。
 民主党幹事長に
小沢一郎・前代表代行が就任したことを「評価する」という人は43%で、「評価しない」の47%より少なかった。
 鳩山首相が、自らの
資金管理団体収支報告書への架空個人献金記載を、秘書の独断だったと説明していることについて、「納得できる」は21%(前回15%)にとどまり、「納得できない」69%(同73%)が多数を占めた。〈質問と回答24面、関連記事2・3・4・7・8・9・11・13・38・39面〉

(以下略)
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個別の質問項目は、現在の視点で見れば、余り重要ではない項目がほとんどです。
 そして、鳩山由紀夫
政権発足直後75%あった支持率が、そのわずか8ヶ月後19%に急落したことを報じる記事は下記の通りです。
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内閣支持下落
19% 「首相退陣を」59% 読売新聞緊急世論調査
2010.05.31  読売


 図=鳩山内閣の支持率の推移

 読売新聞社は、沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題での日米合意と政府対処方針決定を受けて、29〜30日に緊急
全国世論調査(電話方式)を実施した。鳩山内閣の支持率は19%で、前回(5月7〜9日実施)の24%から続落し、不支持率は75%(前回67%)に達した。鳩山首相が普天間問題の「5月末決着」を明言しながら、同県名護市辺野古への移設を、地元と社民党の理解を得られないまま決定したことで、首相は責任を取って退陣すべきだと思う人は59%に上り、「その必要はない」は36%だった。
 
内閣支持率が20%を切ったのは、2009年7月の麻生内閣(19%)以来だ。00年以降では森内閣も20%割れを記録している。
 今年夏の参院比例選の投票先では、民主は14%(前回19%)に落ち込み、自民19%(同13%)が初めて上回った。みんなの党8%(同7%)が続いている。政党支持率は民主は20%(同22%)で、自民20%(同14%)に並ばれた。
 
普天間問題に関しては、移設先を「最低でも沖縄県外」などとした首相の一連の言動を「問題だ」と思う人は81%を占めた。首相の資質に疑問を感じる人は多く、民主支持層でも「問題だ」は62%に上った。
 移設先を明記し、訓練の県外移転を拡充し、鹿児島県・徳之島の活用を検討するなどとした日米合意については「評価する」30%、「評価しない」58%だった。沖縄県の基地負担に関しては「軽減につながる」は19%にとどまり、「そうは思わない」が69%だった。
 首相が社民党党首の
福島消費者相を罷免したことについては「当然だ」56%が「必要はなかった」35%を上回った。社民党の連立政権離脱には66%が「当然だ」と答えた。

(以下略)
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 政権発足から
8ヶ月で、国民の81%が「資質に疑問を感じる」人物が、なぜ、総理大臣に就任してしまったのでしょうか。
 
就任時に75%の支持率を得ていた総理大臣が、僅か8ヶ月後に19%の支持率に急落すると言うことは何を意味するのでしょうか。
 この8ヶ月の間に、当人の
精神に重大な異変が起きたと言うことでもない限り、8か月政権発足時か、或いはその退陣を迫られた時のいずれかは、国民が彼の正体を見誤っていたという事を意味していると思います。
 前・後のどちらが正体であるかと言えば、それは
後の姿正体と言うことになるでしょう。

 さらに、
なぜ国民は彼の正体を見誤ったかと言えば、それは正体を漏れなく正確に国民に伝えるべき人達、つまり新聞・テレビが正体を伝えず(その一例は彼の母親は在日韓国人である事)、隠していて、それだけでなく、反対に不必要な情報が拡散されていたからだと思います。つまり“情報操作”です。

 記事によればこの2人に限らず、森総理も、麻生総理も短期間に支持率が急降下していますが、この両名は政権から退くと共に政界・社会から消え去った鳩山由起夫とは異なり、総理辞任後も政界・社会での活躍が続いているので、前・後のどちらが正体かと言えば、おそらく“前”の方が正体で、後の方“情報操作”により国民が正体を見誤ったと言うべきでしょう。

 いずれにしても
正確な情報が隠されていたり、不必要な情報が拡散されているという「情報操作」が、日本の政治(民主主義)を閉塞状態に追い込んでいると言えると思います。
 ではなぜ彼ら(新聞・テレビ)はそのような行為を繰り返すのでしょうか。それは彼らは日本で
健全な「民主主義制度」が機能する事を望んでいないからです。なぜなら、民主主義が健全に機能して、国民の多数意見が国政に反映されれば、それは新聞・テレビの少数意見は反映しないことを意味するからです。

 なぜ新聞・テレビ放送業界が
“少数意見”の牙城であり続けるのかと言えば、それは新聞・テレビ業界は健全な自由競争の市場ではないからです。これは新聞業界については公正取引委員会独占禁止法を基に、テレビ放送業界については総務省の「許認可行政」健全化を基に対処すべき問題です。

令和3年9月14日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ