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肝心なことを報じない日本の新聞 −“自民党議員”ではなく、実名で書くべき−

 4月13日の夕刊によると、増大する一方の国民総医療費を抑制するため検討されてきた、薬価見直し策である「薬剤定価・給付基準額制」が、白紙に戻されることになりました。この制度の実施によって、保険でまかなえない分の患者負担が増えるのは問題ですが、増加する一方の総医療費の抑制も必要です。放置すれば必ず何らかの形で将来の国民の負担となるからです。

 このニュースを報じる新聞を見ると、朝日新聞には「・・・同制度には日本医師会やその支援を受ける自民党議員などが強く反発しており・・・」とあり、読売新聞には「・・・日本医師会意向を受けた自民党議員が、導入に反対する姿勢を示していた・・・」となっていて、日本医師会とその意を受けた自民党議員達によって白紙に戻されたことが判ります。しかし、自民党議員については、具体的な
議員の名前が明らかにされず、「匿名」になっています。新聞はなぜ匿名にするのでしょうか。議員の政治家としての行動はすべて、有権者に明らかにされなければなりません。政治家の行動、発言を報じるのは新聞の最も基本的な使命であると思います。それがなければ有権者は選挙を通じて審判を下すことができません。

 この問題に限らず、郵政の問題でも、米価の問題でも、自民党内には様々な「族議員」がいて活動していますが、新聞報道で議員の名前が明らかになることはほとんどなく、
「郵政族」とか、「コメ議員」と書かれるだけで「匿名扱い」になっています。

 選挙の度に有権者が選択に迷い何度選挙をしても政治が変わり映えしないのは、有権者が的確な選択をできないからであり、その原因は新聞が、有権者が的確な選択をするために
必要な情報を提供していないからだと思います。新聞が薬価の問題で、日本医師会の意を受けて日本医師会の利益の代弁者になっている議員の名前を報じれば、日本の政治は変わっていくと思います。

 この問題を報じる朝日新聞を見ると、記事本文と同じぐらいのスペースで、
記者の《解説》が掲載されていますが、朝日新聞の記事は「解説」がないと理解できないほど難解なのでしょうか。新聞社の意見を書くよりも、読者が必要とする情報を提供するという新聞の基本に立ち返ってほしいと思います。

平成11年4月14日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ