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NHKは莫大な受信料を使い、責任の所在が不明(誰も責任を負わない)の伏魔殿
 −“視聴者・視聴率”はどこへ行った−


 12月6日の読売新聞は、「[スキャナー]NHK次期会長の稲葉氏、「スリム化」「公正」重責担う」と言う見出しで、次の様に報じていました。(
茶色字は記事 黒字は安藤の意見)
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[スキャナー]NHK次期会長の稲葉氏、「スリム化」「公正」重責担う
2022/12/06 05:00 読売

 NHK次期会長に元日銀理事の稲葉延雄氏(72)の就任が決まったのは、
日銀時代の実績や民間での経営感覚が評価されたためだ。組織スリム化公正な報道を重視する岸田首相の意向が反映された。新体制には受信料の更なる引き下げなどの難題が待ち受けている。(政治部 佐藤竜一、経済部 向山拓)

日銀、リコーで経験豊富 首相が就任説得
プリンス
NHK次期会長の選出理由を説明する森下俊三・経営委員長
東京・渋谷のNHK放送センター

 会長人事は
NHK経営委員会森下俊三委員長の下、選考が進められたが、大きな影響力を及ぼしたのは首相官邸だった。

 「日銀職員としての
仕事ぶりと民間企業の経験が決め手になった。公共放送の良さを生かしつつ、改革を進めるバランス感覚がある」
 
首相周辺は稲葉氏が選ばれた理由をこう明かす。

 この稲葉氏評は
具体的な指摘が何一つ無く、完全に中身の無い評価です。

 稲葉氏は日銀企画局参事時代の1996年、政府の金融政策への介入を防ぎ、日銀の独立性を高めるための日銀法改正プロジェクトチームに参加し、改正作業を取り仕切った。その後、考査局長や企画局、金融市場局を担当する理事などを歴任し、日銀内で「プリンス」と呼ばれ、総裁候補に挙げられたこともある。

 2008年に退任後は複写機大手リコーに転じ、特別顧問を経て、専務執行役員や取締役会議長などを務めてきた。

 
首相は、稲葉氏が官民のいずれでも豊富な経験を持つことを重視し、約1万人の職員を抱える組織のトップとしてふさわしいと判断したようだ。

 記事に書かれているのは、
岸田首相のことだけで、視聴者・国民目線のこと(NHKに対する評価・要望)に関わることは何も書いてありません。一体、NHKは誰のものだと思っているのでしょうか。
 読売新聞は、彼らマスコミ業者にとって、NHKの
視聴者や読売新聞の読者とは、聞かせる読ませる対象ではあっても、自分たちが“聞く(耳を傾ける)”対象とは考えていないのです。

 読者・視聴者(国民)は“マスコミサービス業者の顧客”です。それなのにNHK新会長選任に際して、新会長の紹介記事を書くに当たって、
読者・視聴者の事など全く眼中にないのです。

 もっとも、NHK会長職の年収は約3000万円と、有力財界人にとって十分とは言えず、国会答弁などで矢面に立つことも敬遠され、人事は難航することも多い。「今回も複数の財界人に断られ、最終的に稲葉氏に行き着いた」(自民党幹部)との見方もある。
 政府高官によると、首相は水面下で稲葉氏に接触して口説き落とし、自民の麻生副総裁や菅前首相ら総務相経験者への根回しを行ったという。

 
NHKの会長を財界人から選ぶというのは、何かそういう不文律でもあるのでしょうか。とても不可解ですが、記事には何の説明もありません。

 NHKのホームページを見ると、下記の様な組織図があります。


NHKKのホームページより(https://www.nhk.or.jp/keiei-iinkai/about/index.html

 図を見ると、
「経営委員会」「監査委員会」「執行部」の三つの組織が、三角関係のように位置していて、上下関係がよく分かりません。そして三者間で矢印がそれぞれの間で、双方に向かっているのもよく意味が分かりません。三者が三つ巴(みつどもえ)の関係のようにも見受けられます。一目見ただけでは理解できず、三者が三つ巴(或いは三者のもたれ合い)の関係のように見え、お役所的な形式にこだわった効率的とは言えない組織です。

 今回稲葉延雄氏が岸田総理に選任された
「会長職」が最高責任者のように聞こえ、この記事でもそのように論じていますが、このNHKの図を見ると、経営委員会に会長任免の権利があるとされていますので、会長はトップではないのです。

 NHKの会長がトップの地位で無ければ、会長になったとしても
何が出来るかという不安はもっともです。任される事が「国会答弁」のような事ばかりであれば、引き受け手がいないのは当然です。
 会長職は
人気が無いと言う事は、年収の低さもさることながら、地位に伴う(見合う)権限が無く、飾り物であることを示しています。
日銀出身でマスコミ関係の
経歴がゼロとあれば、そう見られて当然でしょう。
 このようなお役所的な三つ巴
構造を改革する事がまず必要です。

 それでは実際の権限は誰が握っているのでしょうか。組織上権限のあるものが見当たらないという事は、実態は
労組以下の“現場”のやりたい放題になっているのでは無いでしょうか。

(中略)

ネット業務拡大・契約減 厳しい目
 過去最大の受信料1割値下げと業務のスリム化を公表したNHKだが、インターネット業務の
拡充を視野に入れており、テレビ所有者からの受信料で成り立つ公共放送の業務範囲が問われている。

 NHKにとって
ネット業務は本業である放送「補完」で、費用も年間200億円に制限されている。総務省の有識者作業部会で、NHKは「信頼できる基本的な情報を提供する『情報空間の参照点』となる」と宣言したが、具体的な業務への言及はなかった。健全な民主主義を守るためには、自立した民間の報道機関が不可欠で、NHKの野放図なネット業務拡大は民業圧迫につながりかねない。

(以下略)

 
放送ネット業務について、NHKが今後どうあるべきかは、視聴者・国民が判断する事で、NHKの職員が決めることではありません。NHKは視聴者・国民のものであって、NHKの職員のものでは無いことを片時も忘れてはなりません。

 NHKが発足した
当時にはその片鱗も無かった、ネットの急拡大・急成長を受けて、それと競合する旧態に属する“放送(NHK)”が今後どうあるべきかについては、廃止も視野に入れて(雇用の維持を前提とせず)、国民・視聴者の間で議論を進めるべきです。

令和4年12月18日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ