A267
東京23区の新築マンション平均価格「1億円超え」(前年比39.4%増)の原因は、中国人の“爆買い”では無いのか −説明になっていないNHKの報道−

 1月25日のNHKテレビニュースは、「東京23区の新築マンション平均価格 初めて1億円超える」と言うタイトルで、次の様に報じていました。
------------------------------------------------------------------------------------
東京23区の新築マンション平均価格 初めて1億円超える
2024年1月25日 14時28分  NHK

A267-2


 東京23区で去年1年間に発売された新築マンションの1戸あたりの平均価格は1億1483万円と、初めて1億円を超えました。調査会社は、
資材価格の高騰などを背景に工事費が上昇したことに加え、利便性が高い都心でのマンション開発が相次いでいることが影響したとしています。

 東京23区の平均価格
1億1483万円 おととしを39.4%上回る
 調査会社「不動産経済研究所」のまとめによりますと、東京、神奈川、埼玉、千葉
1都3県で去年1年間に発売された新築マンションの1戸あたりの平均価格は8101万円で、おととしより1813万円、率にして28.8%上回り、3年連続で過去最高を更新しました。

 このうち東京23区の平均価格は1億1483万円とおととしを39.4%上回り、初めて1億円を超えました。

 23区の平均価格が大きく上昇していることについて調査会社は、建設資材人件費の高騰で
工事費が上昇していることや、利便性の良さで人気が高く、地価も高い都心での開発が相次いでいること、それに、金利が低いうちに早めに物件を購入しておこうという需要が高まったことなどを挙げています。

A267-3


 このほか、
東京の23区を除いた地域5427万円3.7%神奈川県6069万円12.2%千葉県4786万円4%、それぞれおととしより上昇した一方、埼玉県4870万円下落しました。

 ことしの価格の見通しについて、調査会社は「都心際だって高額な物件の発売の
ピークは過ぎたため、去年ほどの高騰は起きないとみられるが、ことし4月から建設業で時間外労働の規制が強化される影響で建設コストがさらに高まることも予想され、価格は高い水準で推移するだろう」と話しています。

(以下略)

-------------------------------------------------------------------------------------

 続いて、翌26日のNHKテレビニュース(関西版)は「関西の新築マンション 去年平均4666万円 価格上昇傾向」と言うタイトルで、次の様に報じていました。
-------------------------------------------------------------------------------------
関西の新築マンション 去年平均4666万円 価格上昇傾向
01月26日 11時33分 NHK

A267-4


 去年(2023年)1年間に関西で発売された新築マンションの1戸あたりの平均価格は
4666万円と、1991年以来の高値水準となりました。
 調査会社は、ことしも
建設資材の高騰などから価格の上昇傾向は続く見通しだとしています。

 
「不動産経済研究所」のまとめによりますと、去年1年間に関西2府4県で発売された新築マンションの1戸あたりの平均価格は前の年から0.7%上昇し、4666万円でした。
 前の年から平均価格が上昇するのは6年連続で、1991年に記録した5552万円以来の高値となっています。
 また、1平方メートルあたりの単価は、1973年の調査開始以来、最も高くなりました。
 マンションの平均価格が上昇した要因については、▼
建設資材の高騰や人件費の上昇が続いていることに加えて、▼ファミリー層などが郊外に面積の広い物件を求めていることで、郊外の土地の価格も上昇していることが背景にあると分析しています。
 今後の見通しについて不動産経済研究所は、「新築マンションの価格の上昇傾向はことしも続くとみられる。ただ、価格のさらなる高騰や住宅ローン金利の上昇などによって、需給のバランスが崩れるおそれもある」と指摘しています。
------------------------------------------------------------------------------------
A267-5


 
東京23区で平均価格が大きく上昇していることについて、調査会社は@建設資材や人件費などの工事費用の高騰による工事費の上昇や、A利便性の良さで人気が高く、地価も高い都心でのB開発が相次いでいること、それに、C金利が低いうちに早めに物件を購入しておこうという需要が高まったことなどを挙げています。

 しかし
@工事費用の高騰は東京23区に限った状況ではなく、東京23区だけの急激なマンション価格大幅上昇の説明にはなりません。
 
A東京の23区の利便性の良さ以前からで、それにより既には他の地域に比べて高価格で推移しており、それ以外に最近になって前年と比較して更に急激に利便性が向上した事実はありませんので、これも説明になりません。
 
B「開発が相次いでいる」と言う点については、単に「マンション建築が相次いだ(供給が増えた)」のであれば、価格は「値下がりの方向」が通常で、反対の極端な「値上がりの方向」には,首を傾げざるを得ません。あるとすればその前に「需要の急増」がある筈です。
 
C「金利」の動きはほぼ全国一律で地域による差は基本的に無いので、これも“東京23区突出"の説明にはなりません。

 NHKはなぜ、明らかに外れている説明をそのまま報じるだけなのでしょうか。それは本当のことは書きたくない(書きたくても書けない)からだと思います。
 そもそもこのような東京都民にとって大打撃である筈の急激な、大幅な値上がりについて、記者として新聞社として、
不動産業者に対する簡単な聞き取りだけで済ませること自体が無責任極まります。

 また、このニュースは今後について「都心の際だって高額な物件発売
ピークは過ぎたため、去年ほどの高騰は起きないとみられる」と報じていますが、これは高騰の原因が「供給の問題」では無く、「需要の激増」である事を暗示しています。その上での「ピークは過ぎた」、「去年ほどの高騰は起きない」ということは、「需要の激増」正体を把握した上での「今年の平均価格は昨年と比べて下落する」と言う意味と解釈されます。

 そのように考えると、「では、昨年
際だって高額マンション需要が爆発的増えたのはなぜか」と言う事になりますが、そこで考えられるのは「中国人投機目的の爆買い」です。
 
中国では不動産価格が暴落していることは,既に大きく報道されているところです。この暴落を受けて、中国人の投資家はその穴埋め(代替)として東京で爆買いしたのだと思われます。中国市場での損失を日本の東京市場への投機で取り返そうとしているのです。日本の消費者にとっては迷惑至極です。

 しかしそれをストレートに書けば、日本人の中国・中国人に対する感情は急激に悪化します。それは中国政府としては避けたい所です。
NHKはその中国政府の意向を受けて、あるいは“忖度”して事実を隠蔽し、事実で無い事を報じている(嘘を吐いている)のだと思います。

令和6年1月29日   ご意見・ご感想は こちらへ   トップへ戻る   目次へ