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北朝鮮の核を黙認するアメリカは本当に日、韓の「同盟国」か -アメリカは北朝鮮の脅威に対抗する日、韓の「核武装」を容認するだろうか-
11月12日の読売新聞は、「北『核保有国』 悪夢のシナリオ…米朝首脳会談実現せず」と言う見出しで、次の様に報じていました。
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北「核保有国」 悪夢のシナリオ…米朝首脳会談実現せず
2025/11/12 05:00 読売
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豊浦潤一
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トランプ氏 認定におわせ
2024年10月31日に行われたICBM「火星19」の発射実験=朝鮮通信
トランプ米大統領の先のアジア歴訪で、注目された北朝鮮の 金正恩キムジョンウン 朝鮮労働党総書記との首脳会談は実現しなかった。正恩氏との会談に前のめりなトランプ氏は、北朝鮮に対する制裁解除と核保有国認定という悪夢のようなシナリオをにおわせた。中露や韓国まで北朝鮮の強硬姿勢に引きずられる中、日本は外交の巻き返しをはかれるのか。(編集委員 豊浦潤一)
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制裁「解除」
トランプ氏は10月24日、ワシントンからアジアに向かう専用機上で北朝鮮を「一種の核保有国だと思っている」と述べた。北朝鮮が、米朝対話は「我が国の核保有国の地位の認定が前提になる」( 金与正キムヨジョン 党副部長の7月28日の談話)としていることを受けたものだ。トランプ氏は10月27日、マレーシアから日本に向かう専用機の中で「金正恩と会えば何を提示できるか」との記者の質問に「制裁(解除)がある」と語った。
核拡散防止条約(NPT)では、核兵器の保有を国連安全保障理事会常任理事国である米英仏露中の5か国に限定している。しかし、NPTに加盟していないインド、パキスタン、イスラエルは事実上の核保有国となるにあたり、安保理制裁を受けなかった。
(中略)
高市首相 「完全な非核化」訴え
それから6年。核・ミサイルを増強した北朝鮮は「不可逆的な核保有国の地位」(前出の金与正氏談話)を主張するようになった。
ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は24年1月時点で北朝鮮が保有する核弾頭数は前年から20発増えて50発になったと推計した。北朝鮮は24年10月31日には「最終完結版」と位置づける新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)火星19の発射実験を実施した。米本土向けICBMの開発は「大気圏に再突入させる技術(の検証)だけを残している状態」(韓国の 李在明イジェミョン 大統領)とも言われる。
こうした中で北朝鮮のCVIDに向けた国際連携は弱まっているように見える。
韓国・ 慶州キョンジュ で10月31日~11月1日に行われたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議と前後して行われた2国間会談で、北朝鮮の完全な非核化を訴え続けたのは日本だけだった(表参照)。
(中略)
日本は、周辺国の対北姿勢が緩む中で孤軍奮闘を強いられそうだ。
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核兵器に関してアメリカのイランに対する態度と、北朝鮮に対する態度は天と地ほどの違いがある。なぜか。イランの核はアメリカの大事な(実質的な同盟国以上の国)イスラエルに対する脅威であるのに対して、北朝鮮の核はアメリカにとってさほどの脅威では無いだけでなく、逆に"同盟国”である日本と韓国に対する脅威である事が、却って日韓両国をして対米依存(従属)の止むなきに至らしめる事になり、これはアメリカにって好都合なのである。日、韓両国は本当にアメリカの「同盟国」なのか、疑問を感じる日本人は少なくない筈である。
アメリカは北朝鮮の脅威に対抗する日、韓の核武装を黙認するだろうか。疑問を感じる日本人は少なくない筈である。
韓国人の中には、北の核は南北統一の暁には韓国の核保有国に繋がると思う者が出てくるであろう。その時日本はどう対応するのだろうか。
2001年、北朝鮮の工作船が九州の南西海域で、日本の海上保安庁の巡視船と交戦の末に爆発、沈没した九州南西海域工作船事件(九州南西海域工作船事件 - Wikipedia )の様な事件が再発したときの日本の対応は、今後は当時よりもリスクが高まる。
高市首相は外から見る限り、トランプに愛嬌を振りまき、反中をアピールしているが一抹の不安を感じざるを得ない。日本国内で、国会の所信表明後の代表質問でもこれらは話題になることも、選挙の争点になることも無い。
北朝鮮の核保有と言う、迫る現実の脅威に目を背けているのが、日本の「官・学・マス」の三悪である。
令和7年11月15日 ご意見・ご感想は こちらへ トップへ戻る 目次へ