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国民に情報を伝えない議員の匿名報道

 7月2日の産経新聞に「衆議院の比例定数の50削減問題」についての、「自民党内の実態冷ややか」という見出しの記事がありました。この問題については、公明党が反発しているだけでなく、お膝元の自民党でも慎重論が相次いでいると報じられています。

 記事を読むと、「・・・『日程的に厳しい』(自民党
国対幹部)」とか、「・・・自由党では『自民党が本気になれば国会日程は理由にならない』(若手)」とか、「・・・また、比例代表の削減は『各党とも痛みを伴う』(自由党幹部)」などと報道されていますが、いずれも発言している議員の具体的な名前がなく、匿名になっています。どうして議員の名を明らかにしないのでしょうか。

 議員は自分の発言を報じられて何か困ることがあるのでしょうか。自分の発言を報道されることは、議員、
政治家として望むところではないのでしょうか。もし、困ることがあるとすれば、それは、日頃公言していることと、実際にしていることが一致していないからだと思います。そのような言行不一致は有権者に対する背信に他なりません。それを匿名報道によって保護するのは新聞の使命に反します。議員の発言、行動はすべて有権者に対して責任を伴うものです。

 議員の氏名が報道されなければ、有権者は
選挙を通じて主権者としての権利を行使することができません。匿名報道は有権者の権利の行使を妨げるものです。有権者の判断はわずかな選挙期間中になされるものではありません。選挙の都度、有権者が判断に迷い、投票率がふるわないのは、日頃、新聞が必要な情報を伝えていないからだと思います。

平成11年7月3日  ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ