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総会屋を太らせたのは誰か

 8月6日の産経新聞に「呪縛は解かれたか 右翼を太らせたもの ほめ殺しで心理的揺さぶり」という連載企画記事がありました。右翼団体「皇民党」が、竹下登をはじめとする自民党の政治家に対する「ほめ殺し」、という嫌がらせ活動で成功を収め、資金を得て太っていった経緯が書かれていました。

 その最後に、「・・・浜田(自民党の浜田幸一元代議士)はこう言った。『皇民党を太らせたのはあんたらマスコミだ。マスコミが書きたてるから幻影になり、それを怖がる政治家が出るんだ』」と書かれていました。確かにそういう一面があると思います。そして、この政治家と右翼の関係と同じ様なことが、大企業と総会屋についても言えると思います。大企業はなぜ総会屋を怖がるのでしょうか。

 総会屋は大企業のミスや不祥事の弱みを握って大企業に食いついてきます。そして企業が彼らの要求に屈しないと、それらの問題をめぐって総会は大荒れになります。そして、それはマスコミに大きく取り上げられます。もし、マスコミがこれを大きく取り上げなければ、企業は総会屋を恐れずに済むようになると思います。取り上げるとしても、反企業の立場でなく、反総会屋の立場で報道すれば企業は総会屋の要求に屈することはなくなります。

 ところが日本のマスコミはこのような場合、必ずと言っていいほど「反企業」の立場で報道します。その結果、企業は大きなダメージを被ります。これで総会屋の目的は達成されるのです。これに懲りて次回からは企業は総会屋の要求に屈することになるからです。マスコミは、たとえ企業に非のある問題であっても、それが総会屋が企業を揺さぶる材料になっているときは、結果的に総会屋を利する事になるような報道は控えるべきだと思います。

 企業と消費者のトラブルをめぐる報道にも問題があります。8月3日の産経新聞に、6月2日、阪急電鉄のある駅のエレベーターに、身体障害者が2時間閉じこめられた事故があり、閉じこめられた人が200万円の慰謝料を求めて訴訟を起こしたことが報じられていましたが、企業側の主張は全く報じられていません。「阪急電鉄広報室の話 『迷惑をおかけし、誠意を持って対応していますが、提訴は非常に残念。訴状を見ていないので、コメントは差し控えます』」とあるだけです。事故から2ヶ月経過しており、様々な交渉経緯があってのことだと思います。たとえ訴状を見ていなくても、コメントはできると思います。訴状を見ていなければ、「訴状をまだ見ていないが」と断ってコメントすればいいのであって、沈黙を守る理由がありません。それにもかかわらず、このような場合多くの企業が「訴状を見ていないのでコメントできない」という決まり文句で、何も語らないのはマスコミに対する不信感からだと思います。「マスコミを相手に何をいっても、まともには報道してくれないので無駄だ」という思いが企業にあるからだと思います。

 日本のマスコミの“反企業”(反政府、反自民)は、国民のためにはならず、単に偏った情報を流しているだけに過ぎないと思います。

平成11年8月8日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ