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太田房江さんの人物紹介は投票日前にすべき

 2月8日の産経新聞朝刊に、大阪府知事に当選した太田房江さんの紹介記事がありました。「太田さん夫婦別姓問題に直面」、「公文書署名は『斉藤』」、「土俵入りに意欲」、「知事賞授与『やってみましょう』」という大見出しのもと、太田さんが通産省の官僚時代から、夫婦別姓を通して来たことと、大相撲の優勝力士に送る府知事賞についても、自ら女人禁制である土俵に上がる意向であることが大きく報じられていました。太田さんが夫婦別姓であることは初めて知りました。大阪府の有権者の多くも初耳だったと思います。

 夫婦別姓問題は以前法案が国会で審議されたときも、厳しく意見が対立した政治問題です。多くの有権者の関心事であったと思います。土俵入りについても今後その時が近づき、相撲協会の意向との食い違いが表面化すれば、府民の大きな関心事になると思います。このように多くの有権者が関心を持つ問題について、なぜ選挙期間中、本人もマスコミも沈黙していたのでしょうか。太田さんが夫婦別姓主義者であることが分かっていれば、投票を見合わせた有権者もいたのではないでしょうか。そして、当選が決まった途端、急にこの問題で発言したり、大きな記事にするのはなぜでしょう。この点について、太田さんは有権者に対してフェアーではなかったと思います。

 産経新聞は選挙期間中は他に書くことが多くて、夫婦別姓問題や、土俵入りのことは書く余裕がなかったのでしょうか。決してそんなことはないと思います。投票日の1週間前の1月31日の産経新聞には、「ラストサンデー“大物”続々」、「雨に響く『お願い』」と言う見出しの選挙戦を報じる大きな記事がありましたが、中身は小渕首相が選挙カーの上で太田さんと手をつないで挨拶したとか、公明党の神崎代表が「太田さんは大阪経済を立て直す浪速のジャンヌダルク」とエールを送った・・・等、どうでも良いことばかり報道しています。

 日本の新聞は有権者が候補者を判断するのに必要な情報を提供していないと思います。各候補者が今まで何をしてきた人なのか、どういう主張をしてきた人なのか、各候補者の違いは何なのかを報道していません。今回の府知事選挙でも選挙が盛り上がらず、棄権が増え投票率が史上最低と振るわなかったのは、こういうところに原因があるのだと思います。

平成12年2月9日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ