A43
取材をしていない日本の新聞記者

(新潟県警のウソをチェックできない日本の新聞)

 新潟県で19才の女性が監禁されていた事件で、新潟県警が事件の経過について、ウソの発表をしていたことが明らかにされました。2月18日の朝刊各紙によると、2月17日、新潟県警自ら記者会見で、1月28日の記者会見で、「病院から『男が暴れている』という通報が警察にあった」とか、「病院に行った警察官が男に付き添っている女性を発見保護した。その際、女性の名前を聞いた」などと発表した内容はウソで、保健所の職員と医師が男の自宅を訪れたところ暴れだし、身元不明の女性もいたので、保健所職員が警察の出動を求めたにもかかわらず、これに応じなかった、などの事実を認める発表をしたそうです。

 保健所が事件の経過を発表して初めて警察がウソを認めたもので、マスコミが取材の結果ウソを突き止めたわけではありません。

 先月28日に警察がウソの発表をしてから、今回の17日の記者会見までの20日間、新聞記者は誰も取材をしていなかったものと思われます。どこかの記者が一人でも保健所なり、病院を取材していれば、警察のウソはたやすく見破られたはずです。ウソが明らかになってから、本部長に会見を申し入れていますが、それでは遅いのです。

 記者の役割は記者会見で会見者を「追及」、「糾弾」し、頭を下げさせることではありません。明らかになっていないことを取材により明らかにすることです。埋もれている事実を報道することが役割です。記者クラブの情報独占にあぐらをかいてるから、肝心なときにウソを見抜けないのです。記者クラブに籠もって、役所の発表を書いているだけの「発表ジャーナリズム」に堕しているからこういうことになるのです。

 オウム真理教にしろ、商工ローンの問題にしろ新聞がキャンペーンをするのは、多数の被害者が出て問題が誰の目にも明らかになったあとです。被害者が出て警察が動き出してからしか報道できないのは、彼らの取材能力と方向感覚の欠如を物語っていると思います。

平成12年2月19日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ