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4月29日の「みどりの日」は「定着」しているか

 5月11日の朝日新聞に、「昭和の日――なぜそれに変えるのか」という社説がありました。

 昭和の日――なぜそれに変えるのか

 4月29日の「みどりの日」を来年から「昭和の日」に改める祝日法改正案がきょう、参院の委員会で採決される。
・・・(中略)・・・
 「自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ」。法律には、「みどりの日」の意義がこう記されている。この春で12回目を迎えた。新緑の季節ともあいまって、国民の間に定着しつつある。
・・・(中略)・・・
 明治天皇の誕生日とされた11月3日は、昭和になって「明治節」と呼ばれたが、戦後は「文化の日」と名を改めて定着した。「みどりの日」を「昭和の日」にするのは、その逆をいくような話ではないか。
・・・(中略)・・・
 昭和天皇が植物に造けいが深かったことも理由とされた「みどりの日」を5月4日に移すのも、お手軽以外の何ものでもない。・・・(以下略)

 朝日新聞は4月29日の「みどりの日」と11月3日の「文化の日」が国民の間に「定着」しているといっていますが、その根拠は何なのでしょうか。「みどりの日」以外にもたくさん祝日がありますが、それらは皆「定着」しているというのでしょうか。今年34回目を迎えた「建国記念の日」も「定着」していると認め、存続を支持するのでしょうか。「日の丸」はあと何年したら国旗として「定着」したと認めるのでしょうか。「文化の日」と改名する前の「明治節」だって「定着」していたはずです。「定着」していた「明治節」を「文化の日」に改名するときに、朝日新聞は「すでに『定着』している」と言って反対したのでしょうか。発足以来46年目を迎えた自衛隊も、当然国民の間に「定着」しているといわなければなりません。

 しかし、いまだかつて朝日新聞が「建国記念の日」や「自衛隊」が国民の間に「定着」していると言ったのを聞いたことがありません。自分が存在を支持するものだけを「定着」していると言って、見直し反対の根拠にするのは大変勝手だと思います。それに、日頃、「家族制度(例えば、夫婦同姓)」の問題などで、国民の間に定着しているものの見直しを主張している朝日新聞が、この問題に限っては「定着」していることを、見直し反対の根拠にするのは矛盾しています。

 「昭和天皇が植物に造けいが深かったことも理由とされた『みどりの日』」を5月4日に移すのを、「お手軽以外の何ものでもない」と言っていますが、4月29日は昭和天皇の誕生日であって、「みどり」とはもともと何の縁もありません。昭和天皇の誕生日を、「みどりの日」に改名したほうが、よほど「お手軽」だったと思います。

平成12年5月13日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ