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議論が深まらない選挙戦

 衆議院選挙は公示以来、議論が深まらないまま投票日となりました。なぜ議論が深まらないのか、原因はいろいろあると思いますが、ひとつには新聞の報道の仕方にあると思います。今日(6月25日)の産経新聞朝刊を見ると、第2面に「各党首 お願いに『熱』」と言う記事があって、各党首の訴えが書かれていますが、自民党から社民連までの7党が、紙面の大きさのうえですべて「平等」に、一政党当たり約250字ほどで書かれています。271議席の自民党と、14議席の社民党を同じ大きさの記事にすることは、はたして平等、公平というのでしょうか。

 3面の、「衆院選 与野党の選挙公約・主張」と言う記事でも、自民党から社民党までの7政党の公約が、憲法から教育改革まで5つの政策項目ごとに紹介されていますが、これも各党「平等」に同じ大きさで扱われています。7党分の内容を紹介しているために、いきおい1党当たりのスペースは小さくなっています。テレビの討論でも、記者クラブ主催の党首討論会でも、7党は常に平等に扱われているため、論点が絞れず、議論が深まらないきらいがあります。

 小選挙区選挙とは、本来、第一党と第二党の争いであるはずです。選挙報道は第一党と第二党に的を絞って報道した方がよいのではないでしょうか。自民党と、民主党の主張に的を絞り、その違いを浮き彫りにし、両党の議論が深まれば、もう少し中身のある選挙戦になったと思います。

 小選挙区制本来の機能を発揮させ、少数政党にキャスティングボードを与えることなく、政権交代が可能な二大政党政治を実現するためには、少数政党を偏重した選挙報道を止めるべきだと思います。

平成12年6月25日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ