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日本の主張を放棄する朝日新聞

 1月31日の朝日新聞は、ワールドカップの国名表記の問題について、社説で次のように言っていました。

W杯表記――「日韓」の順に固執するな

 日本と韓国が共催するサッカーの2002年ワールドカップ(W杯)の日本語表記が問題となっている。
 今年に入ってから、韓国組織委員会(KOWOC)は、日本語の表記も英語の正式名称「2002 FIFA World Cup Korea/Japan」と同じく「韓国・日本」とするよう要求してきた。
 日本組織委員会(JAWOC)は、両国内の表記はそれぞれの国に任されていると主張し、「日本・韓国」のまま使用できるよう理解を求めていた。
(中略)

 日本側の言い分には、それなりの理由がある。正式名称を決めた1996年のFIFAの共催検討委員会では、決勝の開催会場が日本になったため、名称の順序は譲歩した。その際、検討委員会のヨハンソン委員長から「大会名の両国での表記はそれぞれに任せる」という発言を引き出している。なぜ、ここへきて急に韓国が強硬に抗議するようになったのかわからない……。

 背景にはKOWOC側の役員が最近交代したという事情があるようだ。だがそうだとしても、日本側の態度に問題はなかったか。「共催」の精神を尊重して韓国側と緊密な連絡を取り、自国表記問題について理解を深めようとしてきたといえるだろうか。・・・

 朝日新聞は日本の主張に理があることを認めています。この問題の背景に韓国側の役員交代があることも認めています。それなのになぜ韓国側の「態度」を問題にせず、日本側の態度を問題にするのでしょうか。正当な理由のある主張をすることは、「固執」ではありません。日本が正式(英語表記)名称で譲歩し、「Korea−Japan」を認めた代償として、国内での「日本・韓国」表記が認められていたにもかかわらず、「共催の精神」を尊重せずに、突然一方的な主張を始めた韓国の態度こそ問題とすべきです。

 さらに、朝日新聞の社説は、次のように続けています。

 JAWOCに求めたい。「日本・韓国」の順番にこだわり続けるのは好ましいことではない。FIFAの要請を受け入れるべきだ。日本語でなく、英語の正式名称のままにするという方法もあろう。
 ともかく前例のない両国共催事業である。準備段階で困難やトラブルがあって不思議はない。相手側にきめ細かく配慮しながら、一歩一歩前進させる過程そのものが、新しい日韓関係をつくっていく。
 JRの線路上に転落した男性を助けようとして亡くなった韓国人留学生、李秀賢さんの行為は両国民の胸を揺さぶった。日本語表記のあとさき程度の問題で、大切なものを壊してはならない。


 結局、朝日新聞が言っているのは、韓国人が騒いでいるから「日韓友好のため」に日本は主張を取り下げよと言っているのと同じです。このような収拾パターンは、いい加減に終止符を打つべきです。韓国人が騒ぐ度に日本が譲歩を重ねるという両国の関係は「友好」の名には値いしません。また、李秀賢さんの死亡事故はこの問題と何の関係もありません。 日本が一方的に譲歩し続けなければ、日韓友好が成り立たないならば、日韓友好は成り立たなくてもやむを得ないと思います。日韓友好は重要だとしても、日本国民が理不尽な譲歩を重ねなければならないほど重要なものとは思いません。

平成13年2月1日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ