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森首相追い落としの陰謀

 2月18日の朝日新聞は、社説で森首相の進退を次のように論じていました。

 ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団にからむ汚職事件外務省職員の機密費流用疑惑、そして米原子力潜水艦事故と、このところ相次ぐ重大問題に、首相はもとより政府全体がまともに対応できていない。

 こうした事態に、野党各党が森氏の退陣を要求するのは当然のことだ。そればかりか、連立政権のパートナーである公明党や保守党の幹部、さらには自民党内からも首相の早期交代を求める声が出ている。揚げ句には森氏の足元の森派内でさえ、交代を求める声が公然と上がり始めた」

 朝日新聞は森首相に対する退陣要求の根拠として、KSD汚職、外務省の機密費流用、米原子力潜水艦事故をあげていますが、これらの事件は森首相が辞職して責任をとらなければならない事件でしょうか

 KSD事件は贈収賄事件として捜査されており、小山孝雄前参院議が収賄の疑惑がもたれている他、村上正邦参院議員、額賀福志郎代議士などがKSDから金銭の提供を受けていましたが、時期的にも、森首相就任以前の出来事です。森首相は直接のかかわりを持っていません。

 外務省の機密費流用問題も同様に、森首相就任のはるか以前から行われていた不祥事件で、まず責任をとるべきは外務官僚、歴代外務大臣、総理大臣であって、森首相ではありません。過去の政治家、官僚の不始末の責任すべてを、現在の責任者森首相に押し付けるのは理不尽というほかはありません。

 次に原子力潜水艦の衝突事故ですが、この事故はしょせん事故でしかありません。米軍が関与していても、米軍に怠慢があったとしても、事故は事故です。森首相は事故の第一報の後でゴルフを続けていたことに対する非難に対して、「これは事故であり、危機管理の問題ではない」と反論しましたが、まさしくそのとおりだと思います。

 現地の救助・捜索活動はアメリカがすることで、日本が大規模な捜索隊を編成して、現地に急行しなければならないと言う事態ではないのですから、森総理大臣が危機管理センターで陣頭指揮を執るという必要はなかったと思います。あるとすれば、それは政治的パフォーマンスとして必要、あるいは有効であったかどうかという程度の問題だと思います。無意味な政治的パフォーマンスを演じる政治家は尊敬には値しません。漁船の沈没事故で「危機管理云々」と言うのは、危機管理が何であるかわかっていない人の主張だと思います。

 事故を起こしたアメリカの側で政治家の責任問題になっていないのに、被害者の国日本で、なぜ政治家の責任問題になるのでしょうか。考えれば考えるほど不可思議な主張です。これらの主張は、事故や不祥事件を口実に森首相を陥れようとする陰謀としか考えられません。
 2月18日の朝日新聞のコラム「天声人語」は、「退陣へ、退陣へ、と草木もなびく・・・」と書いていますが、すべてを「退陣」に結びつけようとしているのは朝日新聞だと思います。

平成13年2月18日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ