A68
選挙の争点
 

 自民党の総裁選挙が始まり、4人の候補者が共同記者会見をしたことが、4月13日の朝刊各紙に報じられていました。

 読売新聞の一面は、「経済巡り4氏論戦」、「政権枠組みも争点」と言う見出しでした。社説では、「経済再生へ政策論議掘り下げよ」という見出しで、「国民は、一刻も早く景気を回復し、日本経済復活への道筋をつけることを求めている。各候補が経済政策を政権構想の中心にしているのは当然だと書いていました。

 朝日新聞の一面は、「経済・連立 違い鮮明」という見出しで、「景気重視か構造改革か」、「自公保評価」、「派閥・首相公選制など」、「新政権はこうなる」という4つの項目について、各候補の意見を並べて比較していました。

 今のわが国にとって、経済問題が優先課題であることは確かであり、それが争点であるという認識は誤りではありませんが、それは去年の衆議院選挙の時も同様であったと思います。ところが去年の選挙では、森首相の「神の国」、「国体」、「銃後の守り」等の発言問題が、選挙の最大の争点にされ、政党間で経済問題が争点として議論されてはいませんでした。

 国政選挙と、政権与党の党首選挙の違いはあっても、国政に関わる重要争点は共通であるはずです。去年の衆議院選挙では「経済問題」が全く争点にならず、今回の自民党総裁選挙では「経済問題」が最大の争点だというのは、不可解であると思います。今、参議院選挙が公示されたら、マスコミは自民党総裁選挙と同様、「経済」と「連立」が選挙の最大の争点だと言うでしょうか。また何か自民党にとって不利な問題を探してきて(例えば汚職)、それが選挙の最大の争点だということはないのでしょうか。

 いくら不況とは言っても、経済がすべてではありませんから、政治と宗教の関わり方などの政治問題を争点にすることは間違いではありません。しかし、それでは今回の総裁選挙では、国民的な大議論になっている、教科書検定に対する中国・韓国の干渉問題や外国人の地方参政権問題、夫婦別姓問題、司法制度の改革などの政治問題は、なぜ争点として触れていないのでしょうか。自民党内でも意見が分かれている問題です。

 マスコミがこれらの問題を「争点」として取り上げないのは、これらの問題が選挙の争点になり、国民と政治家の関心が高まり、国民の多数意見が政策に反映されることを避けたいと考えているからだと思います。これらの問題から国民と政治家を遠ざけ、マスコミと官僚と「審議会」主導でこの問題に決着をつけたがっているからだと思います。

平成13年4月14日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ