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朝日新聞の「タカ」と「ハト」

 4月29日の朝日新聞は、「小泉ショック」、「『タカの心臓』変幻自在」と言う見出しの記事で、次のように小泉首相を論評していました。

 「田中秀征元経済企画庁長官は・・・一方で、(小泉首相の)憲法改正や集団的自衛権行使容認、靖国参拝発言に戸惑いも見せる。『根は膨張主義者ではない。タカの心臓を持ったハトだと信じたい』・・・森前首相は・・・右寄り系譜を継いで派閥を率いた。・・・小泉氏は、タカ派の影もひきずっている。・・・『タカの心臓をもったタカ』がはばたく可能性もある」

 朝日新聞は4月19日の社説でも、「自民党総裁選――思いつき発言が目立つ」と言う見出しで、次のように主張していました。

 「小泉純一郎氏は亀井氏とともに、タカ派的色彩が濃いといわれた安倍派に属していた。・・・橋本龍太郎氏は・・・かつては日本遺族会や『みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会』の会長を務めた。要するに外交や安全保障問題については、4人ともタカ派的考えの持ち主のようだ」

 憲法改正を主張したり、靖国神社を参拝したり、台湾に対して友好的である政治家は「タカ」なのでしょうか。政治家は『タカ』であってはいけないのでしょうか。「タカ」の定義というものは聞いたことがありませんが、朝日新聞は自分の主張に反する者を勝手に「タカ」と呼んでいるだけではないのでしょうか。

 幼児に聞かせるたとえ話ではあるまいし、政治家を勝手に「タカ」と「ハト」に分類し、「タカ」イコール悪、「ハト」イコール善と言う単純な図式を描くのはナンセンスだと思います。朝日新聞は「タカ」とは何であるかの定義をせず、また、彼らが「タカ」であることの根拠も示さず、危険人物であるかのように論じています。これは、はなはだ非論理的な論評であると思います。

平成13年4月30日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ