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教科書問題を論じる朝日新聞社説の欺瞞

 5月9日の朝日新聞は社説で「再修正要求――よい教科書への一助に」と題して、次のように言っていました。

 「扶桑社をはじめ、各教科書発行会社も、今回の指摘をきちんと受け止めてほしい。『誤りだ』などとの指摘に対して、反論があれば、韓国の学者たちと正々堂々と実証的な議論をしたらよい」
 「日本の一部には韓国などからの批判に対し、『不当な外圧だ』とまなじりを決する向きもある。狭量というほかはない。
 指摘を主体的に受け止め、正しいと思えば受け入れ、正しくないと思えば退ける。そうして、日本の教科書をよりよくするのは、いいことではないか」


 朝日新聞は韓国の内政干渉に反発する日本国内の人達を、「『不当な外圧だ』とまなじりを決する向きもある。狭量というほかはない」と言って揶揄していますが、韓国は修正要求に合わせて、韓国海軍と海上自衛隊の共同訓練中止を通告したり、地方都市が日本との交流行事を中止したり、市民団体が抗議行動を繰り広げるなど、さまざまな圧力をかけています。「まなじりを決している」とか「狭量」と言うのなら、それはむしろ韓国人の方です。
 このような韓国人の行動を外圧と感じない人は、よほど鈍感な人だと思います。外圧と感じていても、そうでないふりをしているのなら、それは偽善者のすることだと思います。

 朝日新聞は簡単に、「正しくないと思えば退ける」と言っていますが、この問題はそれで終わるでしょうか。韓国人は修正要求を日本に退けられて、おとなしくしているでしょうか。韓国人がこの問題で、「退けられて」黙っている国民であれば、そもそも、教科書問題などは起きなかったと思います。

 彼らが求めているのは、自分達の歴史認識に日本を同調させることであって、意見交換でも話し合いでもありません。自分達と異なる考えを、「歪曲」、「捏造」、「改竄」と呼ぶことしか知らない人たちを相手に、話し合いが成立するとは思えません。
 これが日韓教科書問題の根本なのです。それを無視して、「反論があれば、韓国の学者たちと正々堂々と実証的な議論をしたらよい」などというのは、現実離れした空虚な綺麗事に過ぎません。

平成13年5月10日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ