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朝日新聞の世論調査

 10月1日の朝日新聞に、「自衛隊派遣 賛成42%反対46%」、「武器使用緩和反対51%」、「内閣支持率70%横ばい」、「公明支持層『小泉離れ』」という見出しで、世論調査の結果が次のように発表されていました。

 「小泉内閣の支持率は5月調査の84%を最高に、8月調査まで減り続け、今回も回復には至っていない」
 「公明支持層での内閣支持率が前回の68%から54%に下がる一方、民主支持層は53%から66%に上がり、数字が逆転したのが目立つ」

 この見出しだけを見ると何となく小泉首相に対して、否定的な印象を持ってしまいますが、70%という支持率は驚異的な高率と言うべきです。見出しとして書くなら、「横ばい」ではなく、「高支持率を維持」と書くべきだと思います。

 それから、公明党の支持者などはこの世論調査を見てもわずか3%に過ぎないわけですから、公明党の支持者が「小泉離れ」をしたところで、見出しに書くほどのことではないとに思います。政党の支持率では公明党の3%に対して、民主党の支持率は8%あるわけですから、見だしに書くなら、「民主支持層『小泉支持へ』」と書くべきだと思います。

 自衛隊派遣と武器使用緩和については、朝日新聞にとって都合のよい結果が出ていましたが、質問票を見ているといくつかの疑問が生じます。
 例えば、自衛隊の派遣の是非に関する質問は、「アメリカへの協力の一環で小泉首相はアメリカの軍隊を後方支援するために、新しい法案を作り、自衛隊を派遣する方針を打ち出しました。実施されれば、国連の活動を除き、初めての自衛隊の海外派遣になります。あなたは自衛隊の派遣に賛成ですか。反対ですか」という大変長い質問です。記事によれば「質問文は一部省略」となっていますから、本当はもっと長いのかもしれません。

 そして、これを電話で質問しているわけですが、こんなに長い質問をされて、聞く人はよく理解できるのでしょうか。聞き返したりするのではないのでしょうか。そして、それに対して質問者は何と説明しているのでしょうか。質問者は決められた文章を棒読みしているだけなのでしょうか。記事で書かれている以上の「解説付き質問」をしているのではないでしょうか。少なくとも全ての人に同じ質問をしているとは言えない状況があると思います。そこには質問者が回答者を誘導する余地があると思います。
 世論調査一般に言えることですが、特に電話での質問は簡単明瞭でなければいけないと思います。

平成13年10月3日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ