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議員の背信行動をかばっている朝日新聞の匿名報道

 10月23日の朝日新聞は、テロ対策法の国会審議を報じる、「『小泉語』ふわふわ」、「憲法論議、こんなに軽いなんて」という見出しの記事の中で、こう言っていました。

 「歴代内閣が『はれもの』に触るように扱ってきた憲法論議。それが今国会ではっきり変わった。小泉首相は『憲法はあいまいだ』と言いきり、過去の政府見解にも拘泥しない姿勢を貫いている。・・・」
 「自民党の幹事長経験者は『(答弁は)粗雑だ。自民、社会両党の時代なら(審議は)止まっている。人が死ぬかもしれない法律を作っているのに、緊張感が足りない』と指摘する」


 記事は、「自民党幹事長経験者」となっていますが、なぜこの発言は匿名になっているのでしょうか。政治家は有権者に対して自分の発言に責任を持たなければなりません。有権者は自分の選んだ政治家が何と言っているのかを知る必要があります。それを報じるのがマスコミの使命です。国家機密に関わる発言ではないのですから、この議員が匿名で発言する必要も、新聞がそれを匿名で報道する理由もありません。

 発言の内容から、この幹事長経験者とは野中氏のことだと思います。野中氏は、テロ対策法案の衆議院の採決に際して、議場を退席して棄権しました。その理由は、このような重要法案は起立採決ではなく、記名投票によって行うべきだというものでした。議員は自分の行動に対して、有権者に対して責任を明確にすべきだと言っていました。その野中氏が匿名で、自分の名を隠して自分の所属する自由民主党の総裁である小泉首相を批判するのは、全く矛盾しています。そして、このような政治家の無責任な発言を匿名で報道する朝日新聞は、彼の有権者に対する背信行動をかばっていると言われてもしょうがないと思います。

平成13年10月27日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ