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岩波書店の落日

 月刊誌「選択」の11月号に、「岩波書店ついに『落日』」と言う見出しの、次のような記事がありました。

 戦後しばらく、岩波書店は日本の出版界や論壇をリードしていた。・・・が、いずれも「今は昔」だ。岩波本の「長期低落」は隠しようがない。・・・
 90年代に入りソ連邦が崩壊。冷戦終結は共産圏国家に肩入れしてきた「岩波ブランド」をいよいよ色あせたものにした。岩波文化人は肩身が狭く、読書人の岩波離れが加速した。最近、岩波の雑誌「世界」、「思想」、「科学」、「文学」を揃えている書店が都内にいくつあるのか。読者もお気づきと思うが、見なくなった。販売部数の低下はいかんともしがたいようだ。・・・
 岩波は99年以降、売り上げが毎年7〜10パーセントも落ち込み・・・岩波の屋台骨が揺らいでいるのは、「収益の命綱」というべき文庫、新書の不振に尽きる。少しオーバーな言い方をするなら、書店から岩波本を売るスペースが消えつつあるのだ。


 進歩的知識人、左翼の代名詞のようであった「岩波文庫」、「岩波新書」、「世界」などが姿を消しつつあります。今、「世界」を置いている書店はほとんどないのではないでしょうか。政党でもかつての社会党(現、社民党)は、女性中心の特殊な少数政党に零落してしまいした。国民の意識は確実に変わったのです。その中にあって変わらずにいるのが朝日新聞、進歩的大学教授などです。この両者はいまだに侮りがたい勢力を保っています。

 国民の意識が変わって岩波書店の雑誌や書籍が激減しているのに、朝日新聞の部数が減らないのはなぜでしょうか。それは新聞の販売が宅配制度に支えられ、内容とは無関係に売られているからだと思います。社会党の議席が激減したのに、進歩的大学教授が激減しないのは、日本の大学教授の地位が、大学自治に守られて、社会的評価とは無縁のものだからだと思います。

 日本の新聞や大学教授の意見が、国民の多数意見とかけ離れているのは、こういうところに原因があるのだと思います。

平成13年11月17日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ