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厚生族議員とは誰のことか −“族議員”を助けるマスコミの匿名報道−

 11月29日、医療制度改革が決着し、患者側、支払い側に厳しい負担を強いるものとなりました。これを伝える新聞記事を見ると次のように報じられています。

 「焦点の一つだった老人医療費の『伸び率管理制度』の導入に着いては、自民党の厚生族議員や日本医師会の反発を受け・・・」
 「自民党厚生族らが猛反発していた診療報酬の引き下げなどは首相が押し切った形となった」
 「・・・日本医師会とその意向を受けた厚生族議員の激しい抵抗で、『改革の柱』はすっかり骨抜きにされ、あるいは先送りにされた」(以上、11月30日の読売新聞)

 「サラリーマン本人の三割負担をめぐっては、自民党の厚生関係議員を中心に根強い反対があり・・・」
 「予想以上に厚生関係議員の抵抗が強く、・・・」
 「「医療制度改革案をめぐり、小泉純一郎首相と激しい綱引きを演じた自民党の厚生関係議員らは・・・“勝利宣言”した」(以上、11月30日の産経新聞)


 新聞は「厚生族議員」とか、「厚生関係議員」などと言っていますが、それらは一体誰のことなのでしょうか。なぜ、具体的に名前を報じないのでしょうか。これでは国民は自分たちが選んだ議員が何を言っているのか、知ることが出来ません。有権者として選挙で審判を下すことが出来ません。マスコミは有権者と議員を情報でつなぐと言う本来の役割を果たしていないと思います。

 このような議員の氏名を明らかにしない報道のもとでは、医師会の代弁者となっている議員も、選挙の時に有権者の支持が減って議員の座が危うくなる恐れがありません。
 また、反対に他の議員が厚生族議員を批判しても、その議員の氏名を明らかにしない新聞報道では、選挙が有利になるメリットは出てきません。その結果、直接利害関係のある「族議員」以外は、無関心になってしまうと思います。自民党の党内の議論が少数の「族議員」の意向に左右される結果になってしまうのはここに原因があると思います。

 新聞は社説では日本医師会や、厚生族議員を批判していますが、彼らが安心して族議員活動をしていられるのは新聞が匿名報道をしてくれているお陰です。新聞が厚生族議員の名を顔写真入りで報道し、活動の実態が選挙区の有権者に知られるようになれば、族議員の活動は慎重になり、医療制度改革をめぐる議論が彼ら族議員に左右されると言うことはなくなると思います。

平成13年12月2日   ご意見・ご感想は   こちらへ     トップへ戻る      目次へ