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首相から記者を遠ざけた新官邸

 5月9日の読売新聞は、「新官邸 取材規制を強化」と言う見出しで、次のように伝えていました。

 
「官邸内の報道陣の取材は厳しく制限され、小泉首相、福田官房長官らがアピールする『開かれた官邸』とはほど遠い状況となっている」
 「記者は専用の通用口、エレベーターを使う必要があり、記者が動き回るスペースを限定しようとする意図が見え見えだ」


 読売新聞は「記者が動き回るスペースを限定しようとする意図が見え見えだ」と批判していますが、記者はあくまで官邸の部外者です。記者があたかも官邸の一員であるかのように自由に動き回る方がおかしいと思います。

 小泉首相は靖国神社の参拝問題で、初心を貫けず抵抗勢力に屈してしまいましたが、その原因の一つに、首相が国民の多数意見を見誤ったことがあげられると思います。そして、国民の多数意見を見誤った原因は日常、四六時中新聞記者に囲まれていることがあげられると思います。彼ら新聞記者の本来の仕事は取材対象者の話を聴くことですが、記者会見の様子などを見ていても、彼らは人に質問する機会を利用して自分の意見を言うことがよくあります。彼らは国民の代表でも、読者の代表でも、新聞社の代表でもないにもかかわらず、政治家に影響を及ぼそうとしています。これは民主主義の健全な姿ではありません。

 新官邸が官邸内の記者の動きを規制することは、デメリットもあると思いますが、政治家から新聞記者の悪影響をのぞくという意味でメリットもあると思います。

平成14年5月12日     ご意見・ご感想は こちらへ     トップへ戻る     目次へ