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横浜市議による国旗冒涜事件に見る、朝日新聞の欺瞞

 7月2日の朝日新聞夕刊のコラム「窓」で、論説委員の豊秀一さんは横浜市議会で2人の女性議員が国旗を引きずりおろそうとして除名処分になった事件について、次のようにいっていました。

 「日の丸掲揚に反対して議長席を占拠した横浜市の女性市議2名が除名となった。それを社説で『除名とは行きすぎだ』と書いたら、ある新聞のコラムが切り返すように処分を弁護した・・・そこで思い出すのが米国で84年に起きた国旗焼き捨て事件のことだ。時の政権を批判するために星条旗を焼いて罪に問われた男性を、連邦最高裁が無罪にした。男性の行動はあくまで政治的意見の表明が目的であり、憲法が保障した『言論の自由』の保護を受ける、との理由だった。・・・人権思想が確かに息づく米国社会の、懐の深さを見る思いだった。・・・この国はどうだろう

 朝日新聞は20年近く前のアメリカの事件を引き合いに出して、横浜市議会とそれを擁護した産経新聞を批判していますが、アメリカの事件とは、1984年テキサス州の共和党大会で、レーガン共和党政権に抗議するデモ隊が星条旗を燃やし、反政府活動家の1人が国旗冒涜を禁止した州法違反で起訴された事件のことです。この事件でアメリカの最高裁は言論の自由を理由に被告に無罪を言い渡しました。

 このアメリカの事件と今回の横浜市議会の事件には、誰にでもわかる重大な相違点があります。それは、アメリカの事件は自分で自分の国旗を毀損したにすぎませんが、横浜市議会の事件は議会という公共の場で、掲揚されている国旗を引きずりおろそうとしたことです。自分の家で自分のものを壊しても罪に問われることはありませんが、他人のものを壊せば罪に問われます。こういう根本的な違いを無視して自己の主張を正当化しようとするのはペテン師のすることだと思います。

 朝日新聞は、その前の6月26日のコラム「素粒子」でも次のようにいっていました。

 
「横浜の除名された市議2人は計2万2千票あまりを取っていた。多数派はこの重みをもっと尊重すべきであり・・・」

 この議員たちの2万2千票を尊重しろと言うのであれば、加藤紘一議員、鈴木宗男議員が獲得した数万票も同じように尊重しろと言わなければなりません。国旗を冒涜した議員の票だけを尊重しろと言うのはダブルスタンダードだと思います。

平成14年7月3日     ご意見・ご感想は こちらへ     トップへ戻る     目次へ